例えば上図のような納まりの鉄骨ALC造があったとします。緑の部分はスラブコンクリートを示し壁であるALC版に接して(※隙間埋めモルタルを含む)います。しかし、柱部分とALC版の間にはコンクリートやモルタルは存在せず空間になっています。幅は25㎜~30㎜程度の場合が多いと思います。
この空間は各階共通ですので、もしも、柱付近のALCパネルの破損などにより浸水が発生した場合、雨水は最下階(基礎天端や立上りコンクリート天端)まで容易に到達します。※B-B断面図参照
柱付近以外=壁付近で同じように浸水があった場合は各階の床面に具象が現れますし、壁面の仕上げにもシミやクロスのめくれなどの現象が現れますので発見は容易だと言えます。※A-A断面図参照
よって、柱付近の不具合が原因の場合の浸水(雨漏り)は1階の床面近くで発見される事が多くなります。そして、原因追及には時間が掛かる傾向があります。何階から浸入しているかを突き止めるのに手間取る為です。
以上のように、鉄骨ALC造の場合の柱付近の雨漏り原因調査にはちょっとした注意が必要です。また、鉄骨造サイディング仕上げやライトヘーベル張りの場合も似たような現象の雨漏り事例が発生していますので同様の推測も加えつつ調査に臨まなくてはなりません。
ちなみにA-A断面内で表記されている番号は代表的な施工順序です。図からも分かるように床のコンクリートの端部は後打ち(モルタル等)になります。よって、ALCとの接触部分やコンクリートとの接続部分は一体化されていない為、雨水が床面に広がった場合そういった隙間からも下階に浸出します。
また、鉄骨材の影響により雨水の滴る位置が変化するので浸入位置と浸出位置の関係を探るには先入観を持たずに根気よく調査を進める事が望まれます。特にデッキプレートとコンクリートとの隙間を流れる雨水は相当距離を移動していますのでそれなりに想像力を駆使しなくては解決するまでにただただ時間を浪費する結果となるでしょう。
鉄骨系雨漏りは、発見は易し、推測は難し
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