プロが修理しているにも関わらず、何故雨漏りは繰り返されるのか?
※ 繰り返さない雨漏りの参考になれば幸いです。
1 どうして我が家に雨漏りが⁈
2 再発の時
3 雨漏りに立ち向かう時にまずやるべきこと
4 相談先の違いで結果に大差が出る?
5 経験値は信頼値
6 雨漏り退治に適した人とは?
7 繰り返す雨漏りは人災
8 いよいよ専門家に
【1.どうして我が家に雨漏りが!?】
それは突然始まる。長い冬が終わり、春の訪れと共に今年も雨の季節が始まる。雨の季節は雨漏りの季節。ありがたくはないことだが、雨漏りは今年も誰かの家に訪れることだろう。
ある朝、初めて見る床の水溜り。何故ここに水溜りが?多少のパニックと共に「雨漏り?」の文字が頭を過ぎる。我が家が雨漏り?! にわかには信じられないが、目の前にある床の水溜りがそれを物語っている。いったいどこから・・・。
次にあなたは探すことだろう。雨漏りの原因を。天井、壁、窓、バルコニー、屋根・・・。特に気になるところは見当たらない。誰かが何かをこぼしたか?探偵はすぐに行き詰まる。しかし、何かしないといけない。とりあえず隙間という隙間にシーリングを詰めたりなびってみたりするかもしれない。これで少し様子を見てみよう・・・。何の確証も無いが、もしかしたらこれで解決するかもしれない。家族からは期待の眼も注がれているし、何とか治まってほしい。
【2. 再発の時】
その後、あのシーリングが功を奏したのか床の水溜りは発生していない。原因こそ不明だがあれは雨漏りではなかったのかもしれない。もしくは、補修した部位に雨漏りの原因があって、うまいことそこを塞げた可能性もある。であれば、仮にまた水溜りが発生しても同じことをすればよいだろう。そう思い始めたある日、強風を伴う雨がそこそこ降った。
雨の翌朝、それは発生した。また床の同じ所に同じくらいの大きさの水溜りがあったのだ。少なからず衝撃を受けつつ、それがまぎれもなく雨漏りであり、再発したという事実を突きつけられたのだ。気のせいか家族の視線も冷たい気がする。もう、その場しのぎの適当な対応はするべきではないと感じたことは言うまでもない。さて、あなたはこれから何をするべきなのか。
【3. 雨漏りに立ち向かう時にまずやるべきこと】
インターネットには、雨漏りに関する数多の対処法や依頼先が並んでいる。とてもじゃないがこの中から信頼に値する業者というものを探せる気がしない。ではどうするか。自分なりに雨漏りを調べて解決しようか。それとも、以前頼んだことのある大工さんにでも見てもらおうか。でも、なるべく予算は掛けたくないし。
雨漏りのことを考える時、建物の構造や特性を無視することはできない。その建物の構造を知らなくては適切な対応はできないからだ。それは、原因が分からないと治療ができない病気にも似ている。雨漏りの原因は、見た目の外装以外にも見えない所にある場所に何らかの原因が隠れていることの方が多い。そんなこと、畑違いの素人に分かるはずがない。やはり専門業者に来てもらうしかないのだろうか。
【4. 相談先の違いで結果に大差が出る?】
あなたは、近くにある数件のスーパーマーケットから自分にマッチしたお店をどのように選んでいるだろう。とにかく安くてお得感の大きいお店だろうか。または、値段は少々高めだが新鮮で品質には定評があるお店だろうか。もしくは、レジ待ちの時間は少々長いが袋詰めまでやってくれるあのお店だろうか。人によって求めるものは違う。待ち時間の短さだけを望む人。袋詰めの丁寧さを優先に考える人。ただお店が近ければよいという人。等々。
では、雨漏りではどうだろうか。なんでもいいから早く治してほしい。安ければその施工方法は問わない。しっかりと原因を知りたいし改善方法にも納得した上で頼みたい。出来れば今後も再発しない内容にしてほしいし保証があれば尚良い。など、人によっても希望する内容には差がある。もし、あなたにしっかりした要望があるのであればそれを実現させてくれる人に依頼しなければ望む結果は得られないはずだ。そもそも、その要望に応えられない人もいるのだから。知識が薄く経験の浅い人に依頼した場合、それは頼んだ側にも責任があると言わざるを得ない。そういう意味で、依頼する側も最低限の知識を持ち合わせておくことが肝要だと言えるのではないだろうか。
【5. 経験値は信頼値】
雨漏りに携わることで更に雨漏りの奥深さを知ることになる。雨漏りの原因は建物の数だけあるということは前回のコラムでも申し述べたとおりである。絶えず雨漏りの調査や改善を行っていくことで雨漏りの知識を積み重ねることになる。推測して実践。そしてまた推測して実践。修繕を繰り返し行なっていくことで常に新たな経験値が積み重なり、多くの雨漏り原因と最善の修繕方法を更新していくのだ。よって、信頼されるにはそれなりの経験が不可欠となる。
更に付け加えると、建物の構造は年々進化を遂げているので常に知識の更新が必要ということと、同時に古い建物の構造や特性をも理解していなくては対応が半端になる。何故なら、雨漏りは建物の新旧を問わずに発生するからだ。特に古い建物では経年劣化という時系列の変化を読み解く必要も生じる事例が多い。各部材の耐用年数や劣化スピードはそれぞれ違うし、そのメーカーによっても差があるので推測は簡単ではない。
【6. 雨漏り退治に適した人とは?】
そんなこんなで雨漏りのことも少しは理解してきて、いよいよ誰に相談するか。または、調査や修繕をどこに頼めばよいのか。など、雨漏りのことが分かってくると同時に気付くこともあると思う。それは、一部の価格が異常に安く営業的な意味合いが強いだけの業者とか、修理はしないで調査だけ、といったお客様が求めている結果からは少々ズレてしまっている。など、雨漏りの改善とは違った思惑まで感じ取れるようになってくるはずである。
雨漏りで困っている人の目的は単純である。「雨漏りを止めたい」ということである。要は「修理」をしたいのである。その修理をする場所や方法を絞り込むためと今後再発しないような改善方法を見極めるために「調査」が必要ということなのだ。「調査」と「修理」は一対でありどちらか一方だけでは解決に至らないのです。
【7. 繰り返す雨漏りは人災】
雨漏りに遭遇した時、まず最初に連絡しがちなのが建物を建ててくれた会社か棟梁であろう。彼らは建築のプロであり構造や各部の納まりまで細かく周知しているし雨漏りも完全に治してくれるはずだから。建て売り住宅の場合は売り主である不動産会社などに連絡するかもしれない。連絡を受けた不動産会社は建築した業者を知っているのでそこに依頼することが多いと考えられる。要するに、結果として建築関係の業者さんが一次対応をすることになる。そして、最初にやることが外観の目視であり、その目視で怪しいと推測した場所の補修(修理・修繕ではない)である。実は、止まらない雨漏りはここから始まっている。ここで行った補修箇所はあくまでも目視による“推測”に過ぎない。よって、その後の雨で再発することが多い。そして、また目視して補修。また再発・・・。また目視して補修・・・。徐々にいい加減嫌になってくる。そう、お互いに・・・。やがて、業者さんは確認にも来なくなりオーナーさんもあきらめ気味になっていくのだ。全ては最初の見極めのミスから始まっている。最初に「調査」さえ実施していればこのような展開は無かったはずである。そして、誰も確認にさえ来なくなりシーリングを打ちまくった建物では今も雨漏りは止まっていない。
【8. いよいよ専門家に】
こんなことなら最初から専門家に連絡するべきだった。そう思い始めて広告やインターネットを探し始める人は少なくない。それでも、多少遠回りだったとしても結果として改善が出来れば良しとしたい。繰り返すが、「調査」は雨漏り原因と修理方法を特定し、その後の「修理」を確実にするために不可避の作業である。その重要で慎重さを求められる調査という作業を格安で実施する業者もあると聞き及ぶが、はたしてそういう業者は信頼に値するのだろうか?あなたは、投げ売りをするただ安いだけのスーパーに品質を求めるだろうか?仮に商品が傷んでいたことに文句を言ったところで開き直られるのが関の山では?
繰り返す雨漏りには、それなりの理由があるということを忘れてはならない。