雨漏りの原因調査に於ける散水作業で高圧洗浄機の使用は有りか?

外壁

沖縄では梅雨入りしたということで、今年も梅雨が始まりましたが皆様はいかがおす過ごしでしょうか。

今日は東京でも朝から雨が降っていて外仕事の方々を悩ませています。その雨の日でも行える数少ない作業の一つが“下地の洗浄”です。たまたま今日が洗浄作業予定日だったので工程に影響が出る事無く作業を行う事が出来ました。ラッキーでした。

この洗浄作業で使用する機械が「高圧洗浄機」です。最近では100Vの電源で駆動する家庭用のものも普及していますが、塗装作業で使う洗浄機はエンジン式のものでそれなりの高圧水を噴射できます。

 塗装下地の洗浄中

一般的に下地洗浄に適当だと言われよく設定されている水圧は15MPa程度でしょうか。15MPa(メガパスカル)は従来のメートル法での単位では約153kgf/㎠(キログラム重毎平方センチメートル)のことです。
1センチメートル四方のスペースの上に力士の遠藤が乗っているくらいの圧力です。ピンヒールを履いた遠藤が片足立ちしている状態で踏まれるくらいの圧力という事です。(>_<)
水道水の標準的圧力が0.2MPa~0.6MPaの範囲なので比較するとその圧力は危険レベルと言えるでしょう。(実際の洗浄では状況に応じて低圧で使用することももちろんあります。)

さて、それだけパワーのある高圧洗浄器ですが、はたして散水調査用に使用できるものなのでしょうか?というのも、先日、インターネットで高圧洗浄機で散水調査を行っている動画を発見したものですから・・・。(少し驚き)

強すぎませんか?
散水調査は雨漏りした時の状況に近い条件で雨漏りを再現することが基本です。シトシト降る梅雨時の雨漏りなのに、その散水調査を高圧洗浄機で行って正しい結果が導き出せるでしょうか?

確かに、強風を伴う台風時に発生した雨漏りなどの場合は実際の状況に近いこともあるかもしれません。それでも通常のノズルのジェットモードで対応できると思いますし今までそれで再現出来なかった事はありません。台風や渦巻く強風の時と通常の雨天との違いは、普段は雨が掛からないところにも雨が到達するという事であり、決して高圧洗浄機並みの雨がいつまでも掛かり続けるという事ではないと考えますが皆さんはどう思いますか?

あんなにも強力な水流で散水をしたらどんな場所からでも雨漏りになってしまうのでは?その結果をもって「雨漏りの原因が判明した」としているのならば懸念すべき事態だと言わざるを得ません。また、同じような意味でサーモグラフィだけで雨漏り診断が可能と言い切る業者さんもいるようですが、温度で分かるのは、残存水分の位置という雨の通り道かもしれない場所であって、雨の浸入口を言い当てるという事を約束しているのであればそれは根本的に無理があります。例えば、外装がサイディングで通気工法の建物の場合、表層のサイディングの温度だけで二次防水層の不具合を読み取ることは難しいはずです。私たちも場合によってはサーモグラフィを使用しますがそれはあくまでも補助的な活用に留まります。

独自手法を否定する気はありませんが出来ない事は誰がやっても出来ないはずです。時間を短縮して結果を出そうという試みには共感しますしそれに越したことはありませんが、依頼者が求めるものは「正しい結果」だという事を忘れてはいけません。

 

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