雨はウレタン塗膜防水を突き抜ける?

鉄骨造

陸屋根(ルーフバルコニー)のウレタン塗膜防水を雨が突き抜ける訳がありません。

通常は。

それじゃあ防水とは言えませんから。

しかし、あるんです。年に1~2件も。ウレタン塗膜防水なのに雨が浸透してくるパターンの雨漏りが。言ってる意味が分かりませんよね。見た目はちょっとだけ表面がザラザラしてたりします。通常の雨では雨漏りしません。台風でも必ずしも雨漏りは発生しません。その建物では、それこそ年に1~2回ほどだけ雨漏りするという事例です。

通常の散水調査では原因が分かりませんでした。しかし、天井裏の具象箇所側からも確認し、この辺りにしか原因は考えられないという屋根側のエリアを何とか絞り込み、そこに少し強めの散水を行う事30分。雨漏りが再現された次第。

原因は既存のウレタン塗膜防水のほんの一部のエリア(10cm×20cm程度)の膜厚が不足していたという事でした。塗りムラがあって所々の膜厚が薄くなっていたのです。主材をローラーで施工していたため膜厚が均一に仕上がっていませんでした。

とは言え、仮にも防水材ですから通常の雨は何とかはじき返せているようで雨漏りはしません。そう、強めの雨が長い時間降った時だけ雨漏りするのです。防水面に強烈に押し込まれる力が働いた時だけ雨漏りしていたのです。はっきり言ってとても分かりにくい事例でした。

ちなみに、数年前にトップコートを塗り替えたという事で見た目には何の不具合も感じられませんでした。それが手こずる原因にもなりました。そして、更に、この原因をオーナー様に納得して頂くのにも時間を要しました。ウレタン塗膜防水の場合、平場はコテ塗りで施工した方が膜厚の不具合は減ると思います。