モルタル出巾木は「無用の長物」なのか?

鉄筋コンクリート造

室内に於ける巾木の役目としては、見た目の印象もしかりですが、納め方が技術的に難しい床と壁の取り合いの不具合を隠す意味もあると聞きます。しかし、一番の役割は掃除機などが当たった時の衝撃などから壁を守ったり傷が付かないように設置されているのだと考えられます。

では、バルコニーなどの外部で見受けられるモルタル出巾木の役割はなんでしょう。

掃除機はあまり関係なさそうです。
モップやデッキブラシは接触するかもしれません。
でも、「出巾木」でなくてもよさそうです。

防水端末の納まりがいいからでしょうか。やはり見た目の印象を考えての事でしょうか。それとも、何かを守っているのでしょうか。

しかし、出巾木は雨漏り的にはあまりありがたくありません。
写真のように塗膜防水を施していてもモルタル巾木の浮きに伴い壁の取り合いにクラックを生じさせます。また、その浮きはモルタル巾木自体にもクラックを発生させます。どちらも防水層の裏側に雨水が入り込む原因になってしまいます。

よって、防水改修を行う時はまず浮き補修から行う必要があり余計な予算が発生します。下地がALCの場合は再付着もしにくく、結果、モルタル巾木自体を撤去する場合が多いです。その作業をするにもまた予算が発生します。仮に上手に補修出来たとしても浮きはいずれまた発生します。

となれば、どう考えても出巾木たるものは“無用の長物”なのではないでしょうか。

かと言って、テープ分かれ仕上げでは意匠的な貧弱感は否めません。

お勧めは、室内、屋外を問わず「入巾木(いりはばき)」でしょう。壁面より巾木の方が引っ込んでいるように納める巾木です。一般的にスッキリ感と高級感を感じられる納まりと言えます。しかし、出巾木と比較して取り付けや加工に手間暇が掛かるので実際にはあまり採用されていないように感じます。

外部の場合で入巾木にしにくい場合(ALC)では、防水立上り端末を溝斫りの上、水切り金物を取り付ける方法もあります。

要するに、壁面から外方向に出っ張るような納め方には雨漏りリスクが高まる傾向があるので避けた方が無難ということです。

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