挙動する目地の上にタイルを貼ってませんか?

鉄骨ALCの場合でも鉄筋コンクリート造の場合でも目地(シーリング)をまたいでタイルを貼る事によって起きる弊害があります。写真の場合は構造目地とタイルの化粧(伸縮)目地にズレが生じている状況のままタイルを貼り込んでいたせいで構造目地上のタイルに浮きが生じていました。

タイルは落下こそしていませんでしたがタイルの裏面には雨が流れる程度の空間があったため下方では雨漏りが発生していました。浮きの原因はおそらく目地の収縮によるものだと考えられます。また、シーリング材とセメント系のタイル接着剤との相性にも問題があったと考えます。

おそらく、構造目地と化粧目地がしっかり重なり合っていれば浮きの発生確立は減ったのではないでしょうか。いずれに致しましてもこのまま元の位置にタイルを復旧する事には危険が伴いますので仕上げ方法の検討が必要だと思います。

タイル貼りの建物は仕上げタイルの大きさによって目地の位置がおおよそ決まってしまいます。タイルのピッチ(間隔)を計算しながら構造目地などの位置を決める事が肝要ですが構造上の決まり事もあるので自由に目地位置を決める訳にもいかないとは思います。

意匠と構造のせめぎ合いをうまくまとめる事が将来の雨漏りを防ぐ事にもつながりますので時には見た目より実利を優先する事も致し方ないのではないでしょうか。関係各位の理解が得られる事を願って止みません。

激闘876日!

DSCF4604

最初にお問い合わせを頂いてから876日目の今日、ようやく最後の浸入箇所にたどり着いたようです。いわゆる【創発浸水雨漏り】です。浸入箇所及び浸出箇所が共に多数存在し、悪条件も重なった事も災いし全ての入り口を確定させるまで長いじかんを要しました。鉄骨ALC造、高低差25m、水平距離3mの所に最後の原因がありました。散水から再現までにおよそ5時間の時間を要しました。既に採算の問題は超越したレベルになっている為、後はいかに結果につなげるかが課題でありました。オーナー様には長らくお付き合いさせてしまいました。今後、補修方法の打合せなど今しばらくお付き合い頂く事になりますがよろしくお願い申し上げる次第です。

鉄骨ALC造、特にタイル貼り仕上げの建物は調査が手こずる傾向にあるようです。クラックなどの問題個所がタイルにより確認しにくい事がその原因の一つになっていると感じます。そもそも鉄骨造の建物は地震で揺れるように設計されているにも関わらず、その揺れによる歪にALC版が追従出来ていない事がいろんな弊害をもたらしている事は明白です。ま、長くなるのでその話は別の機会に致しますが・・・。いずれにせよALC絡みの雨漏りは後を絶ちません。メーカーや設計関係者の方にはそれなりの対策を考えて頂ける事を切望致します。早急に。

http://www.kensui-protect.co.jp/

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。