天井で発生している雨漏りの調査と天井点検口

雨漏りが天井から発生している場合、雨水は先ずその内部である小屋裏(天井裏)に浸出していることが推測されます。よって、雨漏りの再現を「散水」によって実施するのであれば「天井点検口」の取りつけをお勧めします。

建物の構造を問わず、多くの場合天井は二重天井(上階の床下から金物などを吊り下げ、その下地にボードなどを貼って仕上げる天井。⇔直天)となっています。よって、建物内で最初に雨水の浸出を確認出来るのは天井仕上げ面(以後、天井面)ではなく小屋裏内の軸組廻り(以後、小屋裏内)などとなります。そして、雨漏りの発生時は、小屋裏内に雨水が浸出し始めてから天井面に雨漏りとして具象化するまでには大なり小なり時間差が生じています。

散水調査ではその雨水の流れや経路を再現することで雨漏りの原因箇所を特定しますが、小屋裏内の浸出箇所と天井ボード面の雨漏り跡との因果関係がはっきりしている場合、必ずしも天井面に試験水が到達するまで散水を継続することはありません。建物内に浸入する水はなるべく最小限に止めるためです。

では、小屋裏内に浸出した雨水が天井面に浸出(室内側から確認可能な状態)するまでの時間(期間)とはどの程度なのでしょうか?雨水が天井ボード上に落滴してボード自体に雨水が染み込んでもすぐにはボードが歪んだり表面のビニールクロスがめくれてくることはないでしょう。都度浸入している雨水の量が少ない場合は尚更です。どちらかと言えばボード同士の継ぎ目などから最初に水滴として浸出してくることで気づく方が多いかもしれません。継ぎ目から浸出しない場合は繰り返す雨漏りによりボード自体の歪みやビニールクロスのめくれやシミ(カビ)などに発展することで発見に至ると思われます。それは、最初の雨漏りから数ヶ月経過していることも少なくないと考えられます。更に小屋裏内には雨漏りの発見にとっての難敵が存在します。それは「断熱材」です。一般的にグラスウールなどと呼ばれています。断熱材が存在する場所はその上部が「屋根」や「ルーフバルコニー」などとなっており、太陽光の熱射の影響を受ける場所とされています。

断熱材を覆うビニールや遮熱シートは浸入雨水を食い止めてしまうこともありますし、断熱材自体は浸入雨水を吸収してしまうため雨漏りの発見を大幅に遅らせる傾向があります。また、散水調査に於いては実際の落滴位置と浸出位置のズレを生じさせ推測を困難にするという一面もあります。

しかし、天井点検口を取り付け小屋裏内を目視できる状態にすることでその全ての懸念が解決します。最初の浸出位置、天井ボードや断熱材への落滴位置、室内への浸出箇所とそこまでの経路、そして小屋裏内の傷み具合やおおよその雨漏り経過年数まで把握できるのです。結果として、雨漏り原因の特定のみならずその修理方法の検討までが可能になります。天井点検口は室内側からの見た目のせいで抵抗を感じる人も少なくありませんが、雨漏り調査の折にはご提案させていただきますので是非とも前向きにご検討いただけると幸いです。でも、決して何かを隠す場所にではありませんのであしからず。

450㎜×450㎜取付前

断熱材の存在は調査時間を長引かせるだけではなく浸出位置さえ変えてしまう

適切な判断に天井点検口はとても有効
450㎜×450㎜ アルミ製ベージュ色 和室天井

板模様の目地部分は揃えます

点検口を取り付ける意味は大きい

水切りタイル?は ❝有り❞ か ❝無し❞ か

当時、RC造の新築の建物に於いて、サッシの水切り金物を使用せず外壁のタイルを加工して代用するという意匠設計が一部の設計士の間で流行ったようです。同年代の建物で同じような納まりをよく見かけます。今もこのような納め方をしているかどうかはよく分かりませんが、明らかなのは雨仕舞的な判断の中でこの納め方を“有り”か“無し”かを問うのであれば、答えは“無し”ということです。

理由は、タイルの目地は経年に伴い劣化し止水性能は弱まりますし、タイルの下地やサッシ廻りはモルタルだと考えられますが雨を食い止めるほどの水密性は無いと思われます。結果、浸透した雨水は躯体コンクリートに到達し室内側にも移動浸入してしまう危険が高まることになるからです。

こういった納め方が原因の雨漏りには数知れず遭遇してきました。ほとんどの場合、例外なく雨水の浸入口となっていました。目地セメントやモルタルは水を通さないのでは?と問われることがよくあります。しかし、単にモルタルと言ってもセメントと砂の比率が違うだけで止水性能には差があります。しかも、雨水は必ずしもモルタル内に浸透して移動している訳ではありません。どちらかと言えば、雨水は「モルタルとサッシの間」とか「モルタルとコンクリートの間」を主に移動するのであって、モルタル自体の雨水浸透率は大きな問題ではないと考えられます。

更に雨漏りを助長させる納め方としてタイルとサッシ間のシーリングの向きが挙げられます。タイルの上面の延長となる形でシーリングを施工すると雨水の影響を強く受けるため劣化も早くなります。シーリングは“防水材”ではありません。どんな場合も水の影響を受けにくい形で施工されることが望まれます。結果として耐用年数も延びますし、それによって雨漏りリスクも減ることは言うまでもありません。

 

天窓 VS トップライト

 

屋根の可動式天窓

陸屋根のトップライト

天窓トップライトも「採光」や「換気」を目的として設けられているが、トップライトに開閉式のものは少なく主な役割は換気というよりは採光であろう。また、天窓も嵌め殺し(FIX)タイプは換気ができない。選択可能なのであれば、室内の熱や湿気を排出できるという意味で天窓は換気可能なものをお薦めしたい。
どちらの製品も雨仕舞をそれなりに考慮しており、取り付け方法や手順に問題がなく経年劣化の影響が少ない状態であれば簡単には雨漏りなどしないと思う。しかし、中には壁用のサッシを転用している事例があって驚くことも多い。

 

壁に取り付ける製品は基本的に垂直に取り付けられることを前提に設計されているにも関わらずそれを屋根に取り付けているのである。そして、雨漏りしそうな箇所にはシーリング材をゴテゴテに塗りたくっている。

確かに、昔は天窓やトップライトなど無かったのかもしれない。どうにかして天井からの採光を手に入れたいと考え、既存のあるものでどうにかしようと悩んだ結果なのかもしれない。しかし、それはそれなりに古い建物の話であり最近の建物に取り付けてあるのは確信犯だと思わざるを得ない。

お分かりかと思うが、天窓の雨漏り原因の多くは天窓本体もそうであるが屋根との取り合い部分から浸入するという事例も大変多くなっている。それなりに雨仕舞が考慮されている製品であっても雨漏りが発生してしまうので天窓廻りの作業は大変気を使う部位なのだ。という厳しい条件下にある天窓であるにも関わらずそこに壁用のサッシってどうなのだろうか?ちょっと無理がないだろうか。

嵌め殺しタイプの天窓もガラス廻りのシーリングの劣化に伴い雨漏りすることがあるということを鑑み、雨漏りという観点だけで優越をつけるのであれば、天窓よりトップライトの方が安心だと言えるのではないだろうか。

 

 

 

 

 

挙動する目地の上にタイルを貼ってませんか?

鉄骨ALCの場合でも鉄筋コンクリート造の場合でも目地(シーリング)をまたいでタイルを貼る事によって起きる弊害があります。写真の場合は構造目地とタイルの化粧(伸縮)目地にズレが生じている状況のままタイルを貼り込んでいたせいで構造目地上のタイルに浮きが生じていました。

タイルは落下こそしていませんでしたがタイルの裏面には雨が流れる程度の空間があったため下方では雨漏りが発生していました。浮きの原因はおそらく目地の収縮によるものだと考えられます。また、シーリング材とセメント系のタイル接着剤との相性にも問題があったと考えます。

おそらく、構造目地と化粧目地がしっかり重なり合っていれば浮きの発生確立は減ったのではないでしょうか。いずれに致しましてもこのまま元の位置にタイルを復旧する事には危険が伴いますので仕上げ方法の検討が必要だと思います。

タイル貼りの建物は仕上げタイルの大きさによって目地の位置がおおよそ決まってしまいます。タイルのピッチ(間隔)を計算しながら構造目地などの位置を決める事が肝要ですが構造上の決まり事もあるので自由に目地位置を決める訳にもいかないとは思います。

意匠と構造のせめぎ合いをうまくまとめる事が将来の雨漏りを防ぐ事にもつながりますので時には見た目より実利を優先する事も致し方ないのではないでしょうか。関係各位の理解が得られる事を願って止みません。

エキスパンションジョイントの雨漏りは止まらない?

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エキスパンションジョイントからの雨漏りに受け樋を取りつけている建物に度々遭遇します。地震による建物の破壊を避ける意味合いなどの理由で建物同士が接続されておらず隙間が設けられている部分です。長い形の建物の途中やL字状又は複雑な平面を持つ建物の交点に設置される事が多いようです。

躯体間の隙間は下層では50mm程度、上層は100mm~150mm程度とされる事が多いようですが、過日の東日本大震災の時は東京でも躯体同士が接触した現象が確認されました。エキスパンションジョイントの金物にしても許容範囲を超えてしまい破壊されたり大きく湾曲したりしていました。隙間の幅も見直さなければならないのかもしれません。

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共用廊下部分に取り付けられている場合は、仮に雨漏りがあっても下部も共用部ですから室内のそれに比較して大事にはなりにくいかもしれません。それでも歩行中に雫が頭に滴るのでは不快ですので何らかの手立てが必要になる訳です。その対応策が「受け樋」のようになるわけですが、今やその方法が常識にもなっている感があります。

エキスパンションジョイントはおおよそ下の写真のように納められており地震などの揺れを効果的に受け止めそして受け流す機能を有しております。雨水に関しては天井側に設置されるシート系の材料で受け止めるように作られているものもありますが、そもそもそのような機能を持ち合わせていない製品もあります。

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動く場所ですから、雨の侵入を完全には止められないかもしれません。だからと言って、漏れるのはしょうがないという事で開き直られても困ります。ある意味、天井側で受け止めるという方式は理に適っていると言えるのでしょう。製品側に雨受けシートが組み込まれていない場合はいずれ受け樋等を取りつける事になるのかもしれません。

ところで、散水調査などで使っているホースのジョイント部分はクルクル回転できるのに水は漏れないんです。何か不思議じゃないですか。水圧がかかっているのに漏れないんですよ!(水圧がかかっている方が漏れないのかもしれないが、たまに漏れる部品に遭遇するので納まりの精度が要求されるものだと理解できる)

同じく、ガソリンスタンドの給油ノズルの根元も回転するのにガソリンは漏れませんよね!すごいと思いませんか!そのシステムをエキスパンションジョイントに応用できませんかね?何卒よろしくお願い申し上げます。

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特に専用の金物を設けていないジョイント部分の床面金物を取り外した状況(雨漏り対策工事中)

 

もしも

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もしも、あなたが主婦の方で、朝から夜まで起きている間中雨漏りのシミを見るたび憂鬱になっている日々を過ごしているとしたら。そして、雨の度に天井を見上げ雨漏りの心配をする日々が続いているとしたら。建築してくれた業者さんに一度雨漏りの修繕をしてもらったけれど何も改善しておらずもう一度頼む気にもならないので他の誰かに解決してほしいと望んでいるとしたら。

もしも、あなたが管理会社の社員で建物の管理担当者で、賃貸物件の入居者やオーナーから早く雨漏りを止めてくれと毎日毎日せっつかれているとしたら。社内では上司からも雨漏りはいつ直るのかとばかり聞かれいい加減うんざりしている日々を過ごしているとしたら。

もしも、あなたがディベロッパーの新築物件の販売担当者で、入居間もないお客様から雨漏りクレームがあり、建築業者さんでは解決できずに日々雨漏りクレームが肥大化しているとしたら。売上ノルマを確保するだけでいっぱいいっぱいなのに余計な雨漏りの対応に時間を割く事など出来る訳がないとしたら。一銭の得にもならないのだから早く解決させろと不条理な事しか言わない上司に絶望を感じているとしたら。

もしも、あなたが不動産関係の方で、転売した物件が転売直後に雨漏りが発生してしまい、元のオーナーは無関係を装い現在のオーナーからは賠償を持ち出されて板挟みになっていたりしたら。

もしも、あなたが建築会社の現場担当者で、引き渡し間もなく雨漏りが発生し、作業担当者(大工さんなど)に改善を指示したが担当者の雨漏りに対するスキルが低すぎて雨漏りが改善しないのは元より時間の経過に伴いクレーム化してしまいそうになっているとしたら。

もしも、あなたが工場長や建物管理担当で、雨漏りで製品に被害が出てしまい早急に対応しなくてはいけないのだが機械には強くても建築には疎いため何をどうしたらいいのか途方に暮れていたとしたら。

大変ですよね。ストレスですよね。なんで自分だけがこんなに悩まなくてはならないのだろうか?雨漏りなんかに大切な時間を奪われたくない! そう思いますよね。でも、大丈夫です!世の中の雨漏りのほとんどは解決出来るのです。

私達に連絡すれば、

主婦の方は今まで悩んでいた時間が楽しい今度の旅行の計画に使えるようになります。家事の最中のストレスが無くなりますので笑顔で生活出来ます。雨漏りの心配が無くなったので内装のリフォームだって出来ちゃいます。管理会社の方は雨漏りの改善した部屋にもお客様を連れて行き、室内を見せる事が出来るようになります。そして、オーナー様から感謝されます。ディベロッパーの方は本来の仕事に集中出来るようになり業績もUP!不動産や建築会社の方は雨漏りへの対処法を確立する事が出来るので今後は安心して物件を扱っていけます。そして、建物の管理担当者の方は自分の不遇を呪わなくなるでしょう。

悩んでいる時間もあなたの大切な人生の一部です。出来るだけ早く決断してストレスの無い日々を手に入れましょう。電話かメールをするだけでそれが手に入ります。(電話に出れない時があります)

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中規模・小規模改修工事は、建水プロテクトにお任せください!

 

外断熱、高気密高断熱。

鉄筋コンクリート造、外観はタイル貼り、なのに拳で叩くとぼこぼこ言う。ここだけ下地が鉄骨なのかと思いながらあちこち叩く。やはりぼこぼこ言う。あ~外断熱か、と気付く。そして、内壁側には当然断熱材らしきものは一切無し。外断熱の家は雨漏りにも特徴があります。断熱材、いや、断熱層が相当曲者です。はたして建築業者さんはその特性を理解しているのだろうかとさえ感じる納まりもあります。案の定、建てた業者さんは雨漏りを直しに来ても改善しないらしく結局そのまま放置しているとの事。ここでは詳しく書けませんが、見ただけで問題のある納まりが数個確認出来ました。外断熱工法は屋根でも壁でも内断熱と比較した場合、断熱効果がかなりアップする事が利点らしい。問題は、住んでいる方が外断熱住宅の利点や欠点をよく理解していないという事であろう。最初に説明はしているのだとは思うのだが入居者様がよく理解していない為、何か不具合があるとクレーム化しやすいと感じます。

軒天のボードが何故か重ね貼りされていて、そのボードの間を雨水が移動してサッシから雨が漏っていました。外から見ても、内側から覗いても何の変化もないのに雨が移動して行きます。最近、たまに見かける高気密高断熱住宅との事。暑さ寒さのストレスが無く快適に過ごせるらしい。そして、住宅は長持ちするという。

以上2つの代表的な最近の住宅では雨漏りの推測がしにくく、原因の判明に時間が掛かる傾向にあります。特に外断熱工法ですが、本当に雨対策を考慮した工法なのか疑問を感じる事が多いです。建てる大工さんは本当に工法を熟知していますか?

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