「繰り返す雨漏り」を改善するたった一つの方法

【雨漏り改善の近道】でも述べましたが、「雨漏り調査」は雨漏りの解決にとても有効です。私たちは「雨漏り調査」によって雨の入口を特定した上で「適切な補修」を行うことをお薦めしています。場所を特定してから補修を行いますので「再発」のリスクを減らします。今まで、原因不明のまま、見当違いの推測で補修を何度も行った結果である「繰り返す雨漏り」もなくなるという訳です。

雨漏りの改善を行う中で、「雨漏り調査」が第一段階だとすれば「適切な補修(修繕)」は第二段階です。そして、第三段階が「補修(修繕)箇所の検証」です。「雨漏り調査」によって特定された位置にもう一度散水を行うのです。散水時間は調査時に雨漏りが再現されるまでに要した時間以上を基本としています。私たちは「確認散水」と呼んでいます。

「確認散水」は当該修繕の施工品質の確認も去ることながら、もしも、周辺に想定外の入口(第二の入口)が存在していてそこに気付いていなかった場合、厳密には「複数浸入雨漏り」ですが、入口同士が近かったため散水調査の時に同時に検証してしまっていた可能性がある場合などにも有効です。よって、確認散水の時間は最初に再現された時間以上実施しないとまたもや見落とす可能性があるのです。

例えば、第一の入口は散水時間10分で再現される事象と仮定した場合、近接する第二の入口の再現に要する時間が10分以下という事はありません。一緒に散水してしまっていますので。それどころか、もしかしたら第二の入口の再現時間が10分だったという可能性すらあるのです。だとしたら第一の入口が原因だったという信憑性さえも揺らぐ事態になるのです。

そういう事例は少ないかもしれません。しかし、この事例に限らず「確認散水」を行うということは雨漏りの改善にとってとても重要な工程であると言えるのです。

繰り返します。

①「雨漏り調査」

②「適切な補修(修繕)」

③「確認散水」

以上、一式で【雨漏りの改善】が完了するのです。

そして、お引渡しをすることになるのですが、それでもしばらくは様子を観察して頂くことにしています。それは「確認散水」をもってしても自然現象には勝てないからです。例えば、何度か台風をやり過ごすなどの実証結果が❝第四段階❞という事になります。

そこまで確認して初めて雨漏りが完全解決したと言えるのではないでしょうか。
そして雨漏りは、もう二度と繰り返すことはありません。

 

※雨漏りの状況や修繕の仕様等の事由により確認散水を実施しないことがあります。

 

 

繰り返す雨漏り

同じ場所から繰り返し雨漏りが発生している場合の原因は以下の理由が考えられる。


①雨漏りの原因を改善できていない

②一つの原因は改善されているが他にも原因が残っている

③改善させた部分に再度不具合が発生している

①の場合は、雨漏り原因の見極めが間違っていた場合などで、そもそもの原因箇所の処置は行っておらず無関係の場所を補修していた場合などである。原因が改善されていないので補修前と状況は変わっておらず雨漏りが止まることはない。

②の場合は、いかにも見た目にも怪しい部位があったので簡易補修などで対応してみたが雨漏りは止まらなかった場合である。補修箇所自体は間違っていないので浸出量は減っているかもしれない。「複数浸入雨漏り」である。

③の場合は、浸入位置も確定し既にその部位の適正処理を行っていて、しばらくの間は雨漏りが改善されていたが経年と共に再発する場合である。挙動箇所にあるクラック部分が原因だったときなどにそういった傾向が見られる。補修後数年で再発した場合は当時の原因箇所も確認してみる必要がある。

原因位置の見極め間違いの場合はさておいて、複数浸入雨漏り「経年性再発雨漏り」にはたまに遭遇する。どちらも対応には苦労することが多い。特に、二次防水層が存在しない鉄骨ALC系の建物や鉄筋コンクリート造の建物はおおよそ同じ部位にクラックが再発するので厄介と言える。二次防水層が無いということは、外壁の不具合はいきなり致命的な雨漏りの原因になり得るということであるから。

建物に発生するクラックにはいろんな原因がありますが、大別すると収縮系クラック(乾燥、自己ひずみ)と挙動系クラック(構造ひび割れ)に分かれる。

鉄筋コンクリート造における収縮系クラックが初期段階で多く発生するのに比べ、挙動系クラックは地震や強風など外力の影響を受けて発生している。よって、建物が存在する限り挙動系のクラックも発生し続けると言えるのだ。そして、それは同じような位置で発生している。

それぞれの建物には、それぞれの建物の特性があり、外力の影響によって発生するクラックの位置はほぼ決まっていると思われる。なので、クラックを補修してもいずれまた補修材が破断して雨漏りが再発することは何ら不思議ではない。むしろ自然なことなのかもしれない。

私たちは、それぞれの事象に合った補修方法を真剣に考え検討し、長所も短所も理解した上でご提案するように心掛けなければならない。

 

 

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。