ガラスブロックの雨漏りを考える

 昔からガラスブロックを用いた建物を見かけるとよく見惚れていました。透明なだけのガラスでは決して醸し出せないノスタルジックな雰囲気が好きで、室内から見たらさぞかし魅力的な景色なのだろうと想像していたものです。

今でこそいろんなカラーのものや、変わった模様のものが選べるようになりましたが、当時はガラスブロックと言えばおおよそ決まった種類からしか選べなかったし、作り手から見れば施工に掛かる手間や時間を考えるとありがたい材料とは言えませんでした。

新築の建物が切れまなく施工されていた時代はガラスブロック職人さんが極端に不足していて工事の工期がガラスブロックの仕上げ待ちで決まるという事態も発生していました。その当時のガラスブロック職人さんは日本中で順番待ちしている建物を順々に巡っていたと聞きおよびます。数カ月待たされることもあったと。

そんな職人さんによって丁寧に積み上げられたガラスブロック達も雨漏りに悩まされています。雨漏り部位は主にガラスブロック周辺、特に底辺部分に多く見受けられます。内側に雨が滲み出ることで初めて雨漏りと認識されることが多いのではないでしょうか。

ガラスブロックはアルミやステンレス、またはスチール製の枠内に納まっていることが多いですが、コンクリートやコンクリートブロックの決められた開口部内に直接積み上げられていることも少なくありません。

いずれの場合も、エフロの発生、枠などの腐食、周辺塗膜の膨れや剥離、水溜りなどの症状が伴いそれなりに深刻な状況になってしまいます。補修の多くは枠とガラスブロック間の目地部分にシーリングを打設したりしていますが、ガラスブロック間の全ての目地をシーリング処理するという強者もたまに見かけます。

しかし、ガラスブロックの雨漏りは簡単には止まる事はなかったのではないでしょうか。改善しない原因の一つに「薄いシーリング」が挙げられます。見た目の入口を手間暇をなるべく掛けずに改善したいという想いの結果、現状のブロック間目地にいきなりそのままシーリングを打設するという事例を多く見てきました。しかも、相手がガラスという材料なのにも関わらず相性の良くない材料を使用したり。

と言いますか、そもそもガラスブロック間の目地からはたして本当に雨は浸入(浸透)しているのでしょうか?もしかして無駄な補修を繰り返してはいませんか?

本当の原因は雨漏り調査で判明します。

とあるガラスブロックからの景色

 

あえて言いたい 形には意味があると 

サイディングとサッシの間に原因がある事は散水調査により判明しましたが原因を目視するべくサイディングを取り外した状況が上の写真です。透湿防水シートの端末とサッシ本体が一体化できていないようです。

それもそのはず、の納め方ではサッシ側に透湿防水シートを貼り付ける部位が元々ありません。そうするとどうしても端末はシーリングなどで処理するしかないのではないでしょうか。しかし、それではシーリング材の耐用年数自体が止水可能期間という事になってしまいます。残念ながら入隅までサッシが到達していてBのような納まりになっている建物とはそれなりに出会います。そして、そこが雨漏りの原因である確率は高いのです。

ちなみにモルタル仕上げの場合はもう少し深刻な結果になります。簡易的にシーリング処理を行う場合でも、サイディングであれば既存のシーリングを打ち替えるだけでとりあえずの結果は出せますがモルタル仕上げの場合は表面の処理だけでは止水に至らない場合があります。モルタル下層のアスファルトフェルトとサッシの間を止水処理する事が必要になります。という事は、モルタルを斫る事になります。その時、既存のアスファルトフェルトを傷つけないようにするのが至難の業なのです。

Aの納め方に於いては透湿防水シートはサッシに防水テープなどで固定され止水が確立します。その部分で止水処理をするように考えられているサッシなのです。

では、あえてBの納まりを選択しなければならないほどサッシの位置にこだわる理由は何なのでしょうか?

何を優先するかを考えれば答えは決まってくるはずです。

 

 

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