ルーフバルコニーは屋根。では、バルコニーは?

どうやら「ベランダ」と「バルコニー」の違いは【屋根】の有無で決まるらしい。
どちらも建物の外にせり出した部分という共通の条件のもと、屋根が有る場合が「ベランダ」、屋根が無い場合は「バルコニー」となるようだ。

マンションなどは、各階が同一平面になる事が多いので、そのせり出した部分には大抵の場合屋根(上階の床部分)が有ることになる。よって「ベランダ」となる。その「ベランダ」でも、例えば最上階で庇が無い場合は「バルコニー」と呼ばれるということのようだ。

というように、「ベランダ」と「バルコニー」の“差”は【屋根】の有無ということであるが、“共通する事”としてはどちらも【下階がベランダ】ということである。仮に「ベランダ」や「バルコニー」の床付近に雨漏りの原因が存在していて下階に雨漏りが発生したとしても、その多くは下階のやはり「ベランダ」天井付近に発生し、室内側に雨が向かう確率は低いと考えられる。(※壁面付近に雨漏り原因があった場合はこの限りではない)

では、「ルーフバルコニー」はどうだろうか。
「ルーフバルコニー」とは、本来下階から見ると屋根である部分に設けたバルコニーのことである。名前にルーフ(屋根)が付くのはこのためである。逆に言えば「ルーフバルコニー」の下は「居室(室内)」ということである。どうだろう、危険な匂いがしないだろうか?もしも、ルーフバルコニー内に雨漏りの原因が存在していた場合、直下は室内であるからその結果は恐ろしい限りである。

 

・ここまでのまとめ (^^)/
ということだと。

 

然るに「ルーフバルコニー」と「ベランダ」では防水の仕様が異なる。いわゆる「ルーフバルコニー」は下階の屋根であるから一般の屋根と同レベルのしっかりした仕様にする必要がある。一方ベランダは多少簡易な仕様でも問題は少ない。一般的なRC造のマンションの場合、やはり「ベランダ」の防水仕様は簡易的に取り扱われているし場合によっては防水は施されていない。

ここで注意したいのが、「ベランダ」には仮に防水を行わなかったとしても「バルコニー」にはたとえ簡易仕様でも防水処理を行うべきだということである。何故なら「バルコニー」は下階のベランダから見れば常に雨ざらしであり、役割としては屋根(庇)に他ならない。もう一度言うが「バルコニー」の床は基本的に下階の【屋根】である。

そういう区別的な意味でも「ベランダ」と「バルコニー」の理解は必要なのかもしれない。長らく建築業界に携わっているがいつも曖昧になるのでこの機会にしっかりと頭に叩き込みたいと思う。しかし、話す相手が同じ認識でない場合は話がかみ合わないかもしれない。

バルコニーに限らず、直接雨に打たれる(曝される)部位は「斜壁」も含め屋根として仕様を決める事が大切であるが、新築時にそのような仕様になっていないのであればせめて改修工事のタイミングで仕様変更の検討が行われることを望むものである。

ところで、「テラス」と「バルコニー」の違いって?

外部の雨漏りは軽視されがち ベランダの下はベランダ?

一口に防水と言っても種類や仕様は様々です。

一般的に屋根部分と庇部分では防水の仕様が違いますがその差の根拠は何なのでしょうか?

一例として、ウレタン塗膜防水の場合、屋根部分は補強クロスも入りますし防水層の厚みも庇部分と比較して厚く設定されています。保証期間は10年が一般的です。(※条件有り)

そして、庇部分の仕様の多くは補強クロスは無く保証期間は5年程度とされる事が多いようです。

もちろん、庇部分でも10年保証の仕様で施工して良い訳ですが多くの場合予算の関係などの理由で5年保証仕様に落ち着くように感じます。

同じ建物で同じ環境なのに庇やベランダが屋根部分の防水仕様より簡易な仕様に設定される理由は何なのでしょうか?

決定的に違うのはその防水範囲の直下が部屋か部屋でないかという事に尽きます。

極論的に言ってしまえば、ベランダや解放廊下は雨漏りしてもそこはベランダや解放廊下であり室内のそれよりは影響(被害)が少ないので大事にならないという事です。

かくしてベランダ軒天の雨漏りは軽視され、塗膜が多少浮いたり剥がれたりしても生活に支障が無いうちは放置されていたりするのです。でも、それでいいのでしょうか?

少なからず鉄筋コンクリートであれば内部の鉄筋への影響が懸念されます。爆裂が発生する可能性が高まり同時に剥離落下の危険も増えます。また、塗膜の剥離も進行します。いくら強靭な塗膜だとしても裏側から浸水されてはたちどころに剥がれてしまいます。そうなると、建物の見た目にも良くありません。また、部分補修しても周辺と色が合わない場合、残念な状況になったりします。

建物を守るという観点から見れば、庇やベランダの防水こそしっかりした防水仕様を選定するべきだと考えます。そして、簡易仕様なものほどメンテナンスが重要になってくるのではないでしょうか。

 

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