天窓 VS トップライト

 

屋根の可動式天窓
陸屋根のトップライト

天窓トップライトも「採光」や「換気」を目的として設けられているが、トップライトに開閉式のものは少なく主な役割は換気というよりは採光であろう。また、天窓も嵌め殺し(FIX)タイプは換気ができない。選択可能なのであれば、室内の熱や湿気を排出できるという意味で天窓は換気可能なものをお薦めしたい。
どちらの製品も雨仕舞をそれなりに考慮しており、取り付け方法や手順に問題がなく経年劣化の影響が少ない状態であれば簡単には雨漏りなどしないと思う。しかし、中には壁用のサッシを転用している事例があって驚くことも多い。

 

壁に取り付ける製品は基本的に垂直に取り付けられることを前提に設計されているにも関わらずそれを屋根に取り付けているのである。そして、雨漏りしそうな箇所にはシーリング材をゴテゴテに塗りたくっている。

確かに、昔は天窓やトップライトなど無かったのかもしれない。どうにかして天井からの採光を手に入れたいと考え、既存のあるものでどうにかしようと悩んだ結果なのかもしれない。しかし、それはそれなりに古い建物の話であり最近の建物に取り付けてあるのは確信犯だと思わざるを得ない。

お分かりかと思うが、天窓の雨漏り原因の多くは天窓本体もそうであるが屋根との取り合い部分から浸入するという事例も大変多くなっている。それなりに雨仕舞が考慮されている製品であっても雨漏りが発生してしまうので天窓廻りの作業は大変気を使う部位なのだ。という厳しい条件下にある天窓であるにも関わらずそこに壁用のサッシってどうなのだろうか?ちょっと無理がないだろうか。

嵌め殺しタイプの天窓もガラス廻りのシーリングの劣化に伴い雨漏りすることがあるということを鑑み、雨漏りという観点だけで優越をつけるのであれば、天窓よりトップライトの方が安心だと言えるのではないだろうか。

 

 

 

 

 

ALCと外巾木の危うい関係

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鉄骨ALC造の基礎周辺の納め方は業者さんによって様々ですが、お勧め出来ない形で納めているが故に雨漏りにつながっている案件を時々見かけます。

鉄骨サイディング張りの場合も木造の場合も端末の納め方には雨仕舞の原理原則が適用できます。しかし、ALC(t=100)版に於いては部材そのものに厚みがあるためか、基礎立上りの取り合いがほぼシーリング打設にて納められています。

ご存知ようにシーリング材は比較的早く劣化してしまいます。鉄骨サイディング張りや木造の端末がシーリングを用いない〝形”で処理しているのに比べると雨漏りのリスクはかなり高いと言わざるを得ません。

にも関わらず更に雨の影響を受けやすくしてしまっている形状が今回の事例です。モルタル外巾木は基本的にALC外面から更に外部に突出していますので壁面を流れ落ちてきた雨は外巾木の上で一度停滞します。巾木に限らず水平面に雨が引っかかった場合、雨を内部側に方向転換するきっかけを与える事になります。出っ張りがなければ雨は下方に流れ去ります。

巾木

外巾木の有無に関わらずALC造の1階の床面から雨水が浸出してくるパターンはここのシーリングに起因している事がとても多いと言えます。せめて巾木の天端はシーリングを覆わない形状で納めていれば補修はし易いかもしれません。

さて、それでは、どういった改善が考えられるでしょうか。仮にシーリングが劣化して止水効果が無くなってしまっても雨漏りしない形はあるのでしょうか?

シーリング材では耐えられない

DSCF6779 侵入経路

下階の天井に雨漏りしています。上階のサッシ廻りに問題があります。まず、水切り金物がありません。タイルとサッシ間はシーリングで納められていて、そのシーリング材が劣化しています。タイル面が水平もしくはサッシ側に傾いているようで雨の度に侵水しているようでした。改善させる項目が沢山ありますね。

まず、雨を留めない形状にする必要があります。そして、水切り部分の止水処理も必要です。シーリングは垂直方向に打設した方が耐用年数が長くなります。(シーリングはあくまでも充填材として考え、止水的に厳しい部分には使用しない方が無難です。)出来れば水切り金物を取り付けて下さい。下図は水切り金物をつりつけない場合の改善策の一つです。雨は、澱みを作らず「流す」事が大切なのです。形で流す工夫をお願いします。

改善案

石はサイディングとみなす

写真はシーリングの破断部分です。サッシはステンレス製でシーリングを挟んで上部は御影石です。

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破断している部分以外を見ても判断出来ますようにシーリング材自体の経年劣化は少ないように思えます。そうです、この破断の原因は内部に溜まった雨水が出口を見つけようとした結果で破断しているのです。付着の弱い所を起点として徐々に拡大していったと考えられます。今ではこの隙間から直接浸水しております。サッシ周辺からの浸水を防ぐべくシーリングの更新を近年行ったという事でした。が、上部壁面の御影石の目地などの劣化部分から侵入した雨水の排水経路までは考慮されていませんでした。まあ、通常そうなっているところがほとんどではあります。しかし、乾式工法の場合、御影石と躯体コンクリートの間には30mmから50mm程度の空間が存在するので、浸水した雨水は空間内を下方に流れて行きます。流れ着く先が地面付近の場合はさほど問題は生じませんが、そこにサッシなどがあった場合は枠の上に溜まってしまいます。本来ならば、石の目地などからの浸水を想定し、雨水を排出させる構造にしておく事が理想だと思われます。いわゆる木造でいうところのサイディングボードと同じ理屈で考えた方が良いのではないかと感じる訳です。そもそもステンレスとシーリングの付着は相性が悪いと言われておりますので、小さい圧力でもこのような現象に発展してしまう危険が大きいのではないでしょうか。

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