夏型結露?

「夏型結露」は特定の条件下で発生することがありますが、今回は「夏によくある結露」という結論でした。

エアコンの冷えた冷媒管の廻りに結露が発生し水滴が天井内に落下していました。保温材は巻かれていましたがほんの少しだけ配管が露出していたようでそこに結露が発生していました。

重要なのは、調査前のヒアリングでは「雨の時しか発生しない」というお話しだったにもかかわらず結果が「雨漏り」ではなく「結露」だったという事です。“雨の日”しか発生しないとなると、それはもう【雨漏り】だと思いたくもなるものです。しかし、どうにも位置的に腑に落ちない感がありましたので調査は慎重に行いました。

やはり・・・写真でお分かりのように結果は結露でした。では、どうして「雨の時しか発生しない」のでしょう?
そうですね、雨の日は空気中に含まれる水分も多めです。また、エアコンの設定温度の影響もあったかもしれません。要は、雨天の日は結露の量も多くなるからいつもは留まっていただけの結露水も天井からの水滴となって浸出してしまったという事だと思われます。

おそらく雨の日に雨漏りしたという情報に偽りはないと思います。でも、正確には「雨の日も雨漏り(のよう)になった」ということで、雨以外の日も結露は発生していたけれど天井ボードから滴るまでではなかったというように言い換えることもできるでしょう。

私たちはヒアリングを行う時にあまりにも熱心に情報を聞き出そうとするがあまり相手に微妙なプレッシャーを与え記憶を塗り替えさせている?可能性もあるかもしれないと感じた出来事でもありました。考えてみれば、雨漏りの状況なんてそんなに詳しく覚えていないかもですよね。少し反省。

これからも記憶の範囲でご協力頂きますようにお願い申し上げます。

 

 

 

 

もしも、クーラーが発明されなかったら、建物の雨漏りも減っていた?

いわゆるクーラーは20世紀の大発明だと思えるのです。もしもクーラーが無かったら・・・、夏の生活はおそらく地獄でしょう。少なくとも私にはそう感じる次第です。皆さんはいかがでしょうか。(クーラーは生命維持装置だと言っている人もいます(笑)。)

冷暖房を兼ね備えたルームエアコンが普及して数十年、今や各室に1台づつ設置されているのは当たり前になりました。そのエアコンの数だけ冷媒管は壁を貫通しています(壁以外の経路もありますが)。木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造など建物の構造を問わず貫通部分には雨漏りリスクが存在します。世界中に貫通孔はいくつあるのでしょう。その全てに雨漏りの可能性があるにも関わらずしっかりした対策を取っているものはどのくらいあるのでしょうか。

%e5%86%b7%e5%aa%92%e7%ae%a1【図1】

冷媒管は2本1組となっており、室外機用の電線と共に配管テープで括られている事が大半です。(※括りの中にドレン管も含まれる事が多いですが、別経路に設置される場合もあるので上図にはドレン管は表示していません。)

貫通部分はとかく雨漏りの原因になりがちです。まず、クーラーキャップの枠と外壁の間、クーラーキャップとエアコンパテの間、エアコンパテと冷媒管の間、ここまでは容易に理解できると思います。しかし、冷媒管を包む配管テープ内にも空洞が存在していますので条件次第ではその空洞を雨が流れて室内に侵入してしまう事があります。更に、冷媒管本体である銅管と保温材の隙間も雨は通る事が出来ますので調査時には注意が必要かと思います。

例えば、室内機設置箇所から上方(屋根など)に室外機を設置する場合は冷媒管が上方向から室内に入りますので仮に配管テープや保温材が劣化や破損していて雨が配管テープの内部に浸水する状況では雨漏りリスクが高まります。貫通箇所手前でトラップ形状にするなどの工夫をする方が無難です。

%e5%86%b7%e5%aa%92%e7%ae%a1%e5%90%91%e3%81%8d【図2】

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配管化粧カバーを使用している場合は問題はありませんが配管テープで仕上げている場合はもう一つ注意する事があります。それは、テープの巻き方です。必ず下方から上方に向かって巻きつけなくてはなりません。屋根材などもそうですが、水下から施工するのは雨仕舞の基本です。

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【図3】

お分かりかと思いますが、これを反対に巻き付けると雨が入り込みやすくなるという訳です。しかし、反対に巻かれている事は以外に多いです。空調の業者さんの中ではそういう常識が薄れてきているのでしょうか。

【図1】のようにクーラーキャップなどが設置されている場合はおそらく当初から計画的に設置されたスリーブだと考えられますが、後から必要性が発生した事で貫通孔を設け冷媒管を通した場合は、外壁と冷媒管の廻りの止水処理は雨漏り的に更に重要な部位になりますので慎重な止水処理をお願いしたいものです。

快適な生活の為にとりつけたエアコンが原因で、雨漏りによるストレスが発生したのでは本末転倒です。

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【ALC壁を貫通する後施工の冷媒管:保温材の内側を雨が通って室内側に到達していた】

 

 

 

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