エキスパンションジョイントの雨漏りは止まらない?

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エキスパンションジョイントからの雨漏りに受け樋を取りつけている建物に度々遭遇します。地震による建物の破壊を避ける意味合いなどの理由で建物同士が接続されておらず隙間が設けられている部分です。長い形の建物の途中やL字状又は複雑な平面を持つ建物の交点に設置される事が多いようです。

躯体間の隙間は下層では50mm程度、上層は100mm~150mm程度とされる事が多いようですが、過日の東日本大震災の時は東京でも躯体同士が接触した現象が確認されました。エキスパンションジョイントの金物にしても許容範囲を超えてしまい破壊されたり大きく湾曲したりしていました。隙間の幅も見直さなければならないのかもしれません。

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共用廊下部分に取り付けられている場合は、仮に雨漏りがあっても下部も共用部ですから室内のそれに比較して大事にはなりにくいかもしれません。それでも歩行中に雫が頭に滴るのでは不快ですので何らかの手立てが必要になる訳です。その対応策が「受け樋」のようになるわけですが、今やその方法が常識にもなっている感があります。

エキスパンションジョイントはおおよそ下の写真のように納められており地震などの揺れを効果的に受け止めそして受け流す機能を有しております。雨水に関しては天井側に設置されるシート系の材料で受け止めるように作られているものもありますが、そもそもそのような機能を持ち合わせていない製品もあります。

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動く場所ですから、雨の侵入を完全には止められないかもしれません。だからと言って、漏れるのはしょうがないという事で開き直られても困ります。ある意味、天井側で受け止めるという方式は理に適っていると言えるのでしょう。製品側に雨受けシートが組み込まれていない場合はいずれ受け樋等を取りつける事になるのかもしれません。

ところで、散水調査などで使っているホースのジョイント部分はクルクル回転できるのに水は漏れないんです。何か不思議じゃないですか。水圧がかかっているのに漏れないんですよ!(水圧がかかっている方が漏れないのかもしれないが、たまに漏れる部品に遭遇するので納まりの精度が要求されるものだと理解できる)

同じく、ガソリンスタンドの給油ノズルの根元も回転するのにガソリンは漏れませんよね!すごいと思いませんか!そのシステムをエキスパンションジョイントに応用できませんかね?何卒よろしくお願い申し上げます。

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特に専用の金物を設けていないジョイント部分の床面金物を取り外した状況(雨漏り対策工事中)

 

そもそも打継は雨漏りの原因に成り得るのか? ~パラペット編~

伸縮目地とか収縮目地とかエラスタイトといった名称を聞いたことがあると思います。一般的に陸屋根の押えコンクリート内に布設する事で知られています。周辺コンクリートの収縮による挙動を吸収分散してくれる仕事を受け持っています。では、その伸縮目地が無いとどうなるか?

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最悪の場合パラペット部分が外部に押し出されます。また、挙動により内部の防水層が破断する可能性があります。元々は防水層の保護の為に打設されたコンクリートが仇になるパターンと言えるでしょう。伸縮目地は規定の間隔で効率的に配置しなくてはその効果が発揮できませんので先々を見据えて適切な取付けを行わなくてはならないと思います。しかし、不運な事に昨今の夏の暑さは尋常ではなく一昔前の最高気温は参考にならず、今後の気候の変動まで読み解く事は現実には不可能ですので、安全率を設定する他に手立ては無いのかもしれません。

運悪く入隅付近の防水層が破断してしまい雨水が防水層から漏れ出した場合、浸出水は内部側に向かうものもあるでしょうが比較的近い打継面からも流れ出します。打継目地のシーリング材も内部から圧力が継続的に掛かる場合は水圧や水分の影響で接着面が剥離し滞留水は外部に流れ出します。いわゆる水路(みずみち)が出来てしまいます。外部からではなく内側から外側に浸出するケースです。雨天時は陸屋根側(内部側)の水圧が高くなるので外壁面からの雨水の浸入は困難だと考えられます。下階の雨漏りの原因がこのケースの場合、不具合箇所の特定は困難ですし、それ故に部分補修はほぼ不可能です。挙動対策や膨れ対策を考慮した新規防水層の検討を始めなければならないという事になるのではないでしょうか。

最近の新築工事では押えコンクリート工法自体は減少しているように感じます。しかし、問題は押えコンクリートを下地にする新設防水の仕様です。下地である押えコンクリートがどの程度伸縮(挙動)するのか?密着工法では対応出来ない事は明らかですがAV工法であれば大丈夫なのか?いずれ問題になってくるのかもしれませんね。

~番外編~ に続く     (番外編は「雨漏り110番練馬店」の施工事例で)

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絶縁工法や断熱工法の盲点

アスファルト防水
アスファルト防水下部のクラック

写真は外断熱防水を剥がした時の状況です。施行はコンクリート躯体などに断熱層を貼り付けた後、表層に防水層を形成させて一体化します。断熱層である断熱材は多くの場合スタイロフォームなどの発泡成型系材料が使用されますが、コンクリート面に不陸がある関係で材料との間に隙間が存在しています。よって、その隙間に雨水が浸入した場合にはコンクリートにクラックなどがあると下階に雨漏りが発生致します。問題の多くは雨の入り口と下階雨漏りの位置が大きくずれてしまう傾向にあるという事です。遠くで浸水してもその周辺のコンクリートに不具合がなければ雨水は時間と共に徐々に拡大していきます。そして、クラックに到達した時点で雨漏りの現象として認識されます。そして、溜まっていた雨水が無くなるまで雨漏りは継続します。発生時間が遅く継続時間が長い場合はこのケースが疑われます。発見にも時間が掛かります。散水調査では当日中に結果を出せない事も有り、翌日に再現が出来たとしてもいつの時点での調査水なのか?の判断をすることは極めて困難だと言わざるを得ません。その場合、雨漏り箇所の直上部分を掘り下げます(写真)。するとかなりの高確率で原因のクラックを発見出来ます。そして、そのクラック全体を把握した上で直接止水を行い、まずは雨漏りをくい止めます。その後、雨水が流れて来る方向を見定めて浸水箇所を追い込んで行きます。防水層に原因がある場合の雨漏りに関してだけで語らせて頂くのであれば、露出型の塗布防水が一番発見し易く補修もし易いと言えます。軽く、塗り重ねも容易な事を加味した場合ウレタン塗膜防水が優等生という事になるのでしょうか。

http://www.kensui-protect.co.jp/

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