雨漏りは突然に あの塩ビシートが破断?

防水の中でも強靭と言われている塩ビシートでさえ熱収縮の挙動には勝てないのだろうか。この光景を目にすることが最近やけに多い。接合部ではなくシートやパッチ本体が破断する事例を沢山見かける。シート系の防水材は接合部の品質ばかりに注意を促すが肝心の本体が破断するのであれば本末転倒の感が拭えない。

古くなった塩ビシートは補修が難しい。その上に乗せる各種材料との付着に難があると言われているからだ。かと言って全部やりかえればいいというものではない。確かに経年的な劣化が進行していることは間違いないのだが他の部位には大きな問題はないことも多いからである。

年数が経過した塩ビシート防水は基本的に施工面の長辺方向に引っ張られ破断している事案が多い。材料自体の収縮方向に差異が無いのであれば材料の嵩が多い長辺方向により大きい影響が出るということであろう。

各種防水工事に於いては、いずれ必ず改修工事を実施することから逃れることはできない。であるからそれぞれ改修方法まで同時に確立させておく必要がある。実際、ほとんどの防水材メーカーはそうしている。しかし、こと補修程度の話になるとそれはカタログには載ってないことも多い。

おそらく保証期間内に全面改修を実施する人は多くないと考える。どちらかと言えば保証期間が過ぎ去ってから実際に全面改修に踏み切るまでに数年間という時間が存在するのではないだろうか。であるならばその経過の途中には補修という作業が必要になる可能性は高い。

塩ビシート防水は他の各種防水と比較して確固たる補修方法がないという事がどうしても扱いにくい感を醸し出している。また、収縮の影響で周辺の固定金物を引き抜いてしまうことも部分補修を困難にしている。今後、塩ビシート防水の改修サイクルに入った案件が増えることが予想されるが、次の防水仕様を慎重に検討する必要がある。

 

鉄骨階段の錆は止まらない

 

 

先日の夕立の時、降り始めて数分後の鉄骨外部階段の状況です。
いつも同じ場所から流れ出ているようで蹴上面の塗膜の劣化は周辺より激しいようです。

段鼻にあるノンスリップ金物の下(裏)から雨水が流れ出している状況がわかりますが、この目に見えない隙間の中は今どうなっているのでしょう。

本来、鉄骨階段は“鉄”ですから当然錆びやすいです。外に設置されていれば尚更な訳です。ですので、それを塗装という被膜で守っていかなくてはなりません。ご存知のようにそれはなかなか手間の掛かることであります。しょっちゅう塗装しているな~と感じる方も少なくないでしょう。

錆びは「点錆び」から始まり、そこを起点に徐々に広がる傾向があります。ということは上の写真の状況の場合、既に塗り替えの時期ということになります。でも、目に見える部分の塗り替えはその気になればいつでも可能です。問題なのは手の届かないところの錆処理です。ノンスリップ金物の裏はいつ塗り替えるのでしょうか。否、ほとんどの場合、塗り替えていません。よって、何度でもそこから錆が広がりますし、その部分の錆はいつまでも成長して階段を蝕み続けていくのです。

では、“その部分”はどのようになっているのでしょうか。

上図でもわかるようにノンスリップ金物の裏は「開かずの扉」状態ですので何がどうなっているかは誰も知り得ることはできません。でも、周辺から察するに錆が蔓延しているであろうことは想像に難くありません。

この構造の良くないところはモルタル部分が元々受け皿のような形状をしていることで、水分が溜まりやすい状況です。段板とモルタルの隙間には雨水が入りますのでモルタル周辺の鉄部は一年中湿気に晒されていると言っても過言ではないでしょう。

そういった劣化に対応するために、塗装やシーリングをしたり、階段用防滑シートを貼ったり、時には塗膜系防水などもしているということであります。防滑シートについては、施工後の見栄えの良さもあり昨今よく見かけますが端末のシーリングの劣化に伴い鉄骨が錆び始めると、今度は直すことが難しくなるので注意が必要です。やはり定期的なメンテナンスは必要不可欠です。

いずれの場合でも鉄骨階段のメンテナンスは何かと頭が痛いものです。誰かに決めてもらいたい。「外部階段は亜鉛メッキにしなくてはならない」って。

塩ビシートはメンテナンスフリーって本当?

個人住宅2軒にて同じ大手ハウスメーカーの建物で同じ不具合に出会いました。ベランダの塩ビシート防水に亀裂が発生しています。ビル、マンション等で使用するシートと比較すると少し薄い材料になっています。

塩ビシートは比較的耐候性が高いと言われておりメーカー仕様によっては20年間メンテナンスフリーと謳われているものまであるようです。すごいですよね。(今や30年保証まで出現!)

しかし、塩ビシートも紫外線の影響で柔軟性は衰えますし以外に縮むんですよ。縮むだけならいいんですが、縮む力で固定金物を引っ張ったり、金物が動かないとなるとシートの中で引張力が強く作用する場所に亀裂を生じさせたりします。亀裂は当然雨漏りに直結します。

DSC07645 入隅が金物ごと浮かされています(断熱仕様)

DSCF6053 引張力の影響で破断しています(密着仕様)

それこそ築20年前後も経過している建物であれば全面防水改修という判断にもなるでしょう。しかし、保証書の効力が無くなった10年目以降の例えば11年目とか12年目ではなかなか全面改修の決断はしにくいところだと思います。一部しか問題ないのに全面改修?って思うのは当然でしょう。面積が大きければなおさらだと思います。

ところが、塩ビシートの厄介なところは補修しにくいというところなのです。補修方法はいくつか考えられるのですが、例えば既存のシートの上に同じ材料でパッチ補修みたいな事を行う場合、付着が芳しくないと言われています。他の材料にしても同じく付着が弱くなる傾向にあります。もちろん目粗ししてもです。すぐダメになる訳ではありませんが何せ耐用年数が低くなりがちで再補修を念頭に置きつつ作業にあたる場合が少なくありません。シートの収縮する力はハンパなく非常に厄介です。シーリングだけの補修では速攻剥離破断します。

最近では耐候性を大幅に改善した補修用テープもあるようです。少しコツが必要ですが収縮性も高く数年間は止水効果を維持できると思います。少なくとも毎年手を加えるという最悪の事態は避けられると思います。全面改修の時期まで持ち堪える事を期待します。

DSCF6274 念のため二重貼りしています

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