雨漏り原因になり得る「アゴ」と「水切り目地」の憂鬱~RC編~

【地味だが良い仕事をしている水切り目地】

読んで字の如く、水(雨水)の表面張力を断ち切って建物を保護しているのが水切り目地である。水切り目地は、建物の外部のあちこちに存在し自らの役目を果たしている。鉄筋コンクリート造の建物に於いて水切り目地は型枠の組立て作業時に仕込まれる。基本的にコンクリートの下面に組み込まれ、その上に配筋が組み立てられるので、目地棒の取付け忘れがあった場合は再取り付けが困難なため施工時に忘れることが無いよう管理項目に入っていることも多い。その目地は、「軒天先端付近」、「窓庇先端付近」、「パラペットあご下」、時には「梁下」に多く取り付けられている。全ては、建物の壁面に雨を到達させないために計画されている。木造建築では当たり前の納まりもRC造では意図して取り付けなければそのシステムは機能しない。故に取付け忘れには注意しなければならない。また、発泡樹脂系の目地棒で施工した場合、鉄筋等の接触で破損することがあるので作業中も注意が必要である。もしも、水切り目地を取付け忘れたり、もしくは、将来必要になってから水切り目地を設けようとするならば、コンクリートカッターや斫りのみなどを駆使しつつ、上向きで行わなければいけない超難易度の高い作業を覚悟しなければならない。

 

 

【水切り目地はRC造に於いて数少ない雨仕舞である】

コンクリート面に必ずしもモルタルを塗ることが当たり前ではなくなってからのRC造建築に於いて、水切り目地は有効な雨仕舞と言える。モルタル塗り仕上げが当たり前だった頃は「オダレ」という形状で雨水を断ち切っていた。型枠の精度が高くなって打ち放しの工法が当たり前になってからはオダレに代わって水切り目地を用いることになるが、二次防水が存在しないRC造にとって雨の流れを誘導できる一つの知恵だと言える。

そういった雨仕舞上有効な水切り目地だが、たまに存在しない建物を見かける。そして、それが雨漏りにつながっている場合もある。上図に於いて、パラペットのアゴ下に水切り目地が無く、しかも微妙にアゴ下が逆勾配だった時、雨水は表面張力によってアゴ下をつたい流れ入隅付近に到達する。その部分の多くは防水層の立上り端末部分であり、経年劣化によって浸水の可能性が高くなっている部分でもある。図らずもそういった現場に何度か遭遇している。よもや、施工時にアゴ下に水切り目地を入れ忘れた作業員や、気づかなかったであろう管理者は、それによって将来雨漏りの原因になるなど考える由もありはしないだろう。当然ながら責任を問うことも出来はしない。だが、RC造でのせっかくの数少ない雨仕舞をみすみす見逃してしまった罪は軽くない。

とは言っても施工技術も進化しており、後日可能な対策にも選択肢が増えている。パラペットに関しては、ウレタン塗膜防水などを実施するタイミングでアゴテープなどを組み入れれば水切り目地と同じ効果を付与することが出来るようになった。ただ、アゴテープが必要な建物だと気が付かないことには改善も望めない。

 

【やはり敵は中性化なのか?】

水切り目地が雨仕舞に有効な事は理解していただけたと思うが、それによって生じる弊害もある。水切り目地のサイズは、幅が15mm~20mm程度、高さが10mm~20mm程度の物が多く、一般的には15mm×15mm程度の片勾配の目地棒を打ち込むことが多いと思う。ということは、その部分は、それ以外のコンクリート下面とは相対的にコンクリートのかぶり厚さが少なくなる(コンクリートの中性化による鉄筋への影響はコンクリート厚さに比例するため、かぶり厚さの減少は鉄筋保護力の減退も早まる)ことになる。

鉄筋表面からコンクリート表面までの寸法を「かぶり厚さ」といい、数値は部位によってそれぞれ決められている。その数値を勝手に減らしたりすことはできない。しかし、各所目地棒の付近についての見解はグレーゾーンに思えてならない。例えば、パラペット部分のかぶり厚さの基準は30mm(仕上げ無しの場合)となっている。本来であれば左図のように目地底から既定の寸法が必要だと思われるが、右図のようにパラペットの底面から30mmとなってしまっていることが少なくない。もっとひどい場合は鉄筋と目地棒がくっついてしまっている場合もある。その場合、鉄筋は外気に極めて近い状態になっており、不動態被膜も形成されず腐食は型枠解体直後からすぐに始まることになる。

 

【水切り目地の憂鬱】

コンクリートの中性化による劣化はかぶり厚さによってその耐用年数が決まるので、かぶり厚さの減少は鉄筋のの腐食の進行に影響する。よって、目地底に鉄筋が接触しているなどは論外である。アゴ下が爆裂する最大の原因は中性化のよるものが多いと思うがその要因は人的なものが多分に含まれていると言えるのではないだろうか。

建物を守るために設置される水切り目地だが、正しく取り付けていない場合は劣化の原因にもなるということを理解した上での作業を望んで止まない。

『届かぬ想い』~深目地(沈み目地)のシーリングに於ける落とし穴~

シーリングはタイル目地の底まで届いていますか?
縦方向はもちろんですが、深目地(沈み目地)系のタイル外装では、雨は目地に沿って横方向にも移動します。その横目地の端部がサッシなどの開口部だった場合、そしてそこに不具合があった場合は雨漏りの原因になる可能性があります。

たとえ、目地端部に穴があったからといって必ず雨漏りするものではありません。躯体とサッシ部材の間が適正に処理されていればなんら問題はありません。しかし、この部位のシーリングの下層はサッシ埋めモルタルであることが多く止水機能が高いとは言えない部位です。

もしも、シーリング材が目地底まで到達していない場合、雨水はじわじわと内装に影響を及ぼしいつの間にか雨染みが発生していることでしょう。

こういった写真のような状況はさほど珍しいものではありません。これは、タイル貼り後の目地埋めをする時に端末部分に詰める目地セメントが少し不足していることなどが原因と考えられます。また、その後のシーリング作業では、タイルの角とサッシの隙間を埋めるべくマスキングテープで養生をしますので押し込みが弱いとシーリング材は目地の不足部分まで充填されない状況になります。

以上のように、目地に穴などがあった場合で雨漏りに至る条件としては、

➀化粧シーリングとタイル目地が密着していないため下地にまで雨水が到達する。
➁化粧シーリングが目地底まで到達していないためシーリング裏に雨水が廻りこんでしまう。
➂サッシと躯体間に捨てシーリングが無い。もしくはあっても劣化している。

などが考えられます。

➀の補足として、仮にタイルや目地材が密着していたとしても目地材の止水効果はあまり期待できないので内部に問題がある場合は深目地ほど雨漏りの危険が高まります。

上図は【「捨て打ち」は本当に❝捨て❞なのか】より引用

 

この部位も「タイル屋さん」と「シーリング屋さん」の❝取り合い❞部分ですので、新築施工中はお互いにギリギリの❝ライン❞でのせめぎ合いがあるのでしょう。管理者の眼力が問われますね。

 

 

透湿防水紙の熱劣化

透湿防水シートは紫外線に触れずとも熱の影響で徐々に劣化が進行しています。
写真のように笠木の直下に於いては熱の影響が大きいこともあり劣化のスピードも速いと推測できます。劣化速度に差はあるでしょうが壁面内の透湿防水シートも例外ではありません。通気工法だとしても熱は確実に透湿防水シートに影響を与えます。雨漏りの修理に伴いサイディングをめくった時に見かける透湿防水シートを見て唖然とした経験をお持ちの方も多いと思います。

透湿防水シートは雨を遮る最後の砦でありいわゆる二次防水としての位置づけですが、知らず知らずに劣化が進行している事実はなかなか知る機会がありません。例えば、一次防水であるサイディングの目地シールの劣化に伴い雨漏りが発生することで透湿防水シートの劣化を疑う事になります。

しかし、実際に透湿防シートが熱劣化している場合、二次防水の役割を今後担うことが出来ないことになりますので一次防水の責任がとても大きく重要になって来ます。

透湿防水シートメーカーの中には防水性に対し20年保証を打ち出している会社もあります。これは業界でも画期的らしく、逆に言えば一般に普及している透湿防水シートは20年は持たない?と考えられていることの裏付けにもなるのではないでしょうか。

だとすれば、如何にサイディング目地シーリングの劣化や外装の塗装に気を配っていたとしても透湿防水シートを20年以上保護し延命し得ることは困難だと言えるのかもしれません。穿った見方をするならば、一次防水の防水性を20年以上維持し続けられるのであれば二次防水層は不要?とも言えます。実際、ほとんどの鉄骨ALC造の建物には二次防水層はありません。シーリングの打替えや塗装だけで雨に対向しています。(それはそれで問題も多いですが)

壁にしても屋根にしても二次防水層を交換・改善するには大掛かりな作業が必要になります。然るに近年に於いてはカバー工法的手法が多く用いられるようになったのかもしれません。しかし、雨漏りに携わる身から申し上げますと、カバー工法施工後の雨漏り事例も数多く発生しています。その場合、原因の究明にも時間を要することになりますし、その雨漏りの改善には新旧材料共に手を加えることになることもあるので労力と予算にも大きく影響してきます。

一番よいのは耐久力の長い透湿防水シートが開発され適正使用することですが、経年後、止む無くカバー工法を取り入れるのであれば、やはりまた二次防水層の重要性をわきまえた施工を心がけていただきたいと切に願うものです。

RC造 サッシ廻りの捨て打ちシーリングは重要

通常、RC造外壁に於いて通気工法という概念はありません。よって、透湿防水紙とも無縁ですし、そもそも二次防水という考えがありません。外壁の雨をしのぐには外壁の躯体コンクリート自体の防水性能によるところが大です。然るに、大きめのクラックやジャンカなどが原因で雨漏りになるケースも少なくありません。

RC造にも開口部や配管などの貫通部はあります。そして、その部分の止水処理はシーリングに頼ることが多いと言わざるを得ません。しかし、シーリング材の耐用年数には限界があります。RC造に於いてシーリング材の劣化は雨漏りの発生と直結していると考えなけらばならないでしょう。

仮にシーリング材が劣化しても、なるべく雨の流れや排出を考慮した納まり“雨仕舞”を意識して部材の取り付けを行うことが大切です。また、開口部や貫通部の止水処理については化粧シーリングの下層に“捨てシーリング”を行う方が無難だと言えます。

上の写真は雨漏りした出窓の上部のシーリングを撤去した状況です。出窓の庇部分の端末立ち上がりが躯体外面近くで納まっていることも雨漏りの原因になったと考えられます。シーリングの劣化に伴いタイルとシーリングの間が剥離していました。その隙間から浸入した雨水は部材を腐食せしめさらに室内側への雨水の浸入を助長していくのです。

もし、“捨てシーリング”が存在していればそうはならなかった、もしくは、次の化粧シーリングの打替え時期まで雨漏りの発生を食い止められたかもしれません。理想の納まりは開口部や出窓の上部に直接雨が当たらない仕様が良いのですが、それがかなわなくともせめて“捨てシーリング”だけでも実施しておくことが望ましいと言えるでしょう。そのためにはサッシ部材の取り付け位置もそれなりに勘案しておく必要があるのです。でも、だからといって、“捨てシーリング”も経年劣化することをお忘れなく。

今回の事案は「B」の納まりとなっていました。

水切りタイル?は ❝有り❞ か ❝無し❞ か

当時、RC造の新築の建物に於いて、サッシの水切り金物を使用せず外壁のタイルを加工して代用するという意匠設計が一部の設計士の間で流行ったようです。同年代の建物で同じような納まりをよく見かけます。今もこのような納め方をしているかどうかはよく分かりませんが、明らかなのは雨仕舞的な判断の中でこの納め方を“有り”か“無し”かを問うのであれば、答えは“無し”ということです。

理由は、タイルの目地は経年に伴い劣化し止水性能は弱まりますし、タイルの下地やサッシ廻りはモルタルだと考えられますが雨を食い止めるほどの水密性は無いと思われます。結果、浸透した雨水は躯体コンクリートに到達し室内側にも移動浸入してしまう危険が高まることになるからです。

こういった納め方が原因の雨漏りには数知れず遭遇してきました。ほとんどの場合、例外なく雨水の浸入口となっていました。目地セメントやモルタルは水を通さないのでは?と問われることがよくあります。しかし、単にモルタルと言ってもセメントと砂の比率が違うだけで止水性能には差があります。しかも、雨水は必ずしもモルタル内に浸透して移動している訳ではありません。どちらかと言えば、雨水は「モルタルとサッシの間」とか「モルタルとコンクリートの間」を主に移動するのであって、モルタル自体の雨水浸透率は大きな問題ではないと考えられます。

更に雨漏りを助長させる納め方としてタイルとサッシ間のシーリングの向きが挙げられます。タイルの上面の延長となる形でシーリングを施工すると雨水の影響を強く受けるため劣化も早くなります。シーリングは“防水材”ではありません。どんな場合も水の影響を受けにくい形で施工されることが望まれます。結果として耐用年数も延びますし、それによって雨漏りリスクも減ることは言うまでもありません。

 

雨漏りは突然に あの塩ビシートが破断?

防水の中でも強靭と言われている塩ビシートでさえ熱収縮の挙動には勝てないのだろうか。この光景を目にすることが最近やけに多い。接合部ではなくシートやパッチ本体が破断する事例を沢山見かける。シート系の防水材は接合部の品質ばかりに注意を促すが肝心の本体が破断するのであれば本末転倒の感が拭えない。

古くなった塩ビシートは補修が難しい。その上に乗せる各種材料との付着に難があると言われているからだ。かと言って全部やりかえればいいというものではない。確かに経年的な劣化が進行していることは間違いないのだが他の部位には大きな問題はないことも多いからである。

年数が経過した塩ビシート防水は基本的に施工面の長辺方向に引っ張られ破断している事案が多い。材料自体の収縮方向に差異が無いのであれば材料の嵩が多い長辺方向により大きい影響が出るということであろう。

各種防水工事に於いては、いずれ必ず改修工事を実施することから逃れることはできない。であるからそれぞれ改修方法まで同時に確立させておく必要がある。実際、ほとんどの防水材メーカーはそうしている。しかし、こと補修程度の話になるとそれはカタログには載ってないことも多い。

おそらく保証期間内に全面改修を実施する人は多くないと考える。どちらかと言えば保証期間が過ぎ去ってから実際に全面改修に踏み切るまでに数年間という時間が存在するのではないだろうか。であるならばその経過の途中には補修という作業が必要になる可能性は高い。

塩ビシート防水は他の各種防水と比較して確固たる補修方法がないという事がどうしても扱いにくい感を醸し出している。また、収縮の影響で周辺の固定金物を引き抜いてしまうことも部分補修を困難にしている。今後、塩ビシート防水の改修サイクルに入った案件が増えることが予想されるが、次の防水仕様を慎重に検討する必要がある。

 

タイルの浮きと雨漏りの関係

商売柄、タイル剥離落下の事案をよく見かけます。下地コンクリートの爆裂やクラックなどが起因となっているタイル剥離落下事例は沢山ありますが下地の劣化とは無関係にタイル剥離が発生することもあります。

コンクリート、モルタル、下地調整材、接着剤、そしてタイルはそれぞれの温湿度膨張係数や弾性係数などに差があるため自ずと伸縮率が異なります。日射や湿潤時に発生する材料間の伸縮量の差による負荷を吸収できない場合などに“剥離”すると考えられています。そして、剥離の面積が増えてくると“浮き”として認識されます。

浮きが発生する可能性がある位置はそんなに多くはありません。※下図参照
①コンクリートと下地不陸調整材の間(下地調整材が無い場合はこの限りではない)
②下地不陸調整材とタイル接着剤の間
③タイル接着剤とタイルの間
(④コンクリートとタイル接着剤の間※下地不陸調整材が無い場合)
※①、②は、タイル下地がモルタル塗りの場合は不陸調整材と置き換えて下さい。

それぞれの部材間に於いて異なる伸縮率が存在するため追従できない部位で浮きが発生すると考えられるということは、セメント系材料である下地調整材や接着剤はメーカー毎に成分が異なっていますしタイルは材質や意匠性に於いて多種多様な種類が存在するためそれらの組み合わせの数は想像を超えます。よって、浮きがどの部位で発生するかを読み解くことは困難であると言わざるを得ません。

とは言え、タイルとタイル接着剤の相性は概ね良好な場合が多くその部位の剥離事例は比較的少ないように思われます。また、弾性接着剤を用いることで剥離落下の危険性は改善されているという話も多く聞き及ぶところであります。

さて、その“浮き”の空間に雨水が入り込むとどうなるのでしょう。そして、浮きと雨漏りに因果関係はあるのでしょうか?

ほとんどの浮きタイル面では歪により目地廻りに細かいヒビやタイル面との剥離箇所が多数存在していて雨水が浮きタイルの躯体側空間に到達することは容易だと考えられます。ちなみに、そうした内部湿潤状態のまま日射の影響を受ければ乾燥面と湿潤面とでは温度差が生じる(※)ため部材伸縮のタイミングに時差が生じ剥離が助長されます。浮きは放っておくと徐々に成長してしまうのです。

雨水はタイルと躯体の間に到達しているのであるから雨漏りの危険性も高まるように感じます。しかし、躯体にクラックなどの不具合が無ければ雨は建物に浸入のしようがありません。雨水は空洞内を下方に流れどこかの隙間から排出されているはずです。その時流れ出た雨水にコンクリートなどから滲出した石灰質が混ざると外壁にエフロという形で現れることもあります。

結果、タイルが浮いているだけという状態では雨漏りに発展することはないと言えます。よって、サーモグラフィーなどでタイルの浮きを探し当てたとしても雨漏りまで改善できる条件が整うとはとても思えません。雨漏りは、適正な「雨漏り調査」によってのみ原因を解明することが可能なのではないでしょうか。

 

(※)この時の温度差をサーモグラフィーで読み取ることで浮き部分が分かるとされている。

 

雨漏り改善の近道

雨漏りをなるべく早く改善したいのであれば上のフローの「Yes」を参考にしてみてください。ベストではないかもしれませんが、確実に解決に向かって行ける方法です。
一見、長いように見えますが、結果は急がば回れなのです。

専門家を「信じて任せる」事もストレスの軽減になるのでは?

雨漏りの改善を望む人は多いと思いますが、そんなに急いで直そうとは思っていない方もいます。そのうち、いよいよまずい状態になってから考えよう…とか。

いろんな考え方があるのでそういった考えを否定しようとは思いません。しかし、もし、建物からの意見というものがあるとしたら、やはりなるべく早く改善してほしいと願っているはずです。木造の建物でしたら腐食したり、カビが繁殖したり、害虫が寄って来ますし、鉄骨系の建物だったら錆が蔓延するかもしれません。それらは建物の寿命に悪影響を与えるものですから。

では、雨漏りの改善はあなたに何をもたらしますか?

ストレスの無い雨漏り発生以前の生活でしょうか。
途中になっていた室内の改装計画を前に進められることでしょうか。
天井を見上げるときの憂鬱な時間が無くなることでしょうか。

全て当たり前のことなのに嬉しいと感じるはずです。

これからは雨漏りに費やした時間を取り戻すために楽しい旅行の話でもしましょう。
もう憂鬱な気分で天井を見上げることはありません。そこには真新しいクロスが貼られていることでしょう。心機一転、部屋中の床も壁も天井も新しいものにしてもいいかもしれません。そう、この家に引っ越してきた時のように。

有限な時間を有意義に使うために近道は必須では?

繰り返す雨漏り

同じ場所から繰り返し雨漏りが発生している場合の原因は以下の理由が考えられる。


①雨漏りの原因を改善できていない

②一つの原因は改善されているが他にも原因が残っている

③改善させた部分に再度不具合が発生している

①の場合は、雨漏り原因の見極めが間違っていた場合などで、そもそもの原因箇所の処置は行っておらず無関係の場所を補修していた場合などである。原因が改善されていないので補修前と状況は変わっておらず雨漏りが止まることはない。

②の場合は、いかにも見た目にも怪しい部位があったので簡易補修などで対応してみたが雨漏りは止まらなかった場合である。補修箇所自体は間違っていないので浸出量は減っているかもしれない。「複数浸入雨漏り」である。

③の場合は、浸入位置も確定し既にその部位の適正処理を行っていて、しばらくの間は雨漏りが改善されていたが経年と共に再発する場合である。挙動箇所にあるクラック部分が原因だったときなどにそういった傾向が見られる。補修後数年で再発した場合は当時の原因箇所も確認してみる必要がある。

原因位置の見極め間違いの場合はさておいて、複数浸入雨漏り「経年性再発雨漏り」にはたまに遭遇する。どちらも対応には苦労することが多い。特に、二次防水層が存在しない鉄骨ALC系の建物や鉄筋コンクリート造の建物はおおよそ同じ部位にクラックが再発するので厄介と言える。二次防水層が無いということは、外壁の不具合はいきなり致命的な雨漏りの原因になり得るということであるから。

建物に発生するクラックにはいろんな原因がありますが、大別すると収縮系クラック(乾燥、自己ひずみ)と挙動系クラック(構造ひび割れ)に分かれる。

鉄筋コンクリート造における収縮系クラックが初期段階で多く発生するのに比べ、挙動系クラックは地震や強風など外力の影響を受けて発生している。よって、建物が存在する限り挙動系のクラックも発生し続けると言えるのだ。そして、それは同じような位置で発生している。

それぞれの建物には、それぞれの建物の特性があり、外力の影響によって発生するクラックの位置はほぼ決まっていると思われる。なので、クラックを補修してもいずれまた補修材が破断して雨漏りが再発することは何ら不思議ではない。むしろ自然なことなのかもしれない。

私たちは、それぞれの事象に合った補修方法を真剣に考え検討し、長所も短所も理解した上でご提案するように心掛けなければならない。

 

 

屋根を葺き替える前に出来る事があります

原因不明のままでドクターは治療や手術を始めませんよね。

先日、雨漏りもそれと同じだという話を雨漏りの権威の方から伺いました。
病気の原因が分からないままでは治療の方法が決まらないということです。

建物に於いても、明らかな外傷を伴なわない限り、思い込みで補修工事を行ったとしても雨漏りが解決する確率は低いと言えるでしょう。例えば、病院でお医者さんが「原因はたぶん○○だから、取りあえず△△の薬を飲んで下さい」って、不安じゃないですか?そして、おそらく何度も通った挙句、病気が改善する事はなく別の病院を探すことになるのです。

雨漏りの原因は建物によって千差万別ですのでそれぞれの原因にあった対処をしなくてはなりません。間違った処方箋を元に治療を行えば余計に悪化を招くことだってあります。天井の雨漏りが必ずしも屋根に原因があるとは限りませんし、壁の雨漏りの原因が外壁にあるとも言い切れません。また、原因は一ヵ所とは決まっていないのです。

たいして建物の状況を確認する事もなく、いきなり「屋根の葺き替えが必要です」とか「このまままでは建物がダメになります」とか「防水が限界だからやり直しましょう」とか言い出す輩を信用してはいけません。大抵の場合雨漏りは改善しません。たとえ改善出来たとしてもそれは偶然ですし、そもそもそこまで予算を掛ける状況ではなかった可能性が高いと思います。雨漏り調査を実施し、ピンポイントで原因を突き止めることは修繕費用の軽減にもつながるという事を忘れないでほしいのです。

状況の確かな見極めと正しい処方の両方が雨漏りの改善には必要不可欠です。
病気の事は医師(できれば名医と言われる医師)に、雨漏りの事は「雨漏り診断士」に相談して下さい。それが、貴方にとって最善の結果をもたらしてくれるはずです。

 

 

防水改修のタイミング

怪獣の口みたいになっていますがこれはPC(precast concrete)笠木の爆裂です。

笠木表層のウレタン塗膜防水はそれほど劣化しているようには感じられませんでした。しかし、明らかに防水施工後に爆裂が進行したと考えられます。防水層に不具合があって雨が浸入し、それが起因となって徐々にPC内の鉄筋が膨張することで爆裂が進行したのでしょうか?

おそらく、数年前に屋上防水改修を行うタイミングで何かを感じてPC笠木にも塗膜防水をしておいた方が良いと判断したのだと思います。その当時から爆裂によるクラック程度は散見できたのでしょう。そのクラック(初期爆裂)を食い止めるための判断だったのだと思います。

ですが、手を打つタイミングが少しだけ遅かったのです。もしくは外壁側の止水処理まで気が回らなかったのかもしれません。既に膨張が始まっていたPC内の鉄筋は塗膜防水施工後も残存水分やタイル面側からの水分の影響を受け膨張し体積を増やし続けたと考えられます。そして、挙動の大きい部位の塗膜防水はかくして破断しました。あとは雨天の度にそこから浸入してくる雨が塗膜防水により出口がなくなったPC笠木内を横方向にも移動し広範囲の爆裂を引き起こしていったのではないでしょうか。

鉄部の腐食(錆)も部材深部まで到達してから塗り替えても錆の再発を防ぐ事は容易ではありません。せっかく予算を掛けて補修や改修を行うのですから、適切なタイミングで最大の効果を出したいものです。

最近の事例はこちら👇

ついに「雨漏りしていない証明書」発行か!?

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先日、お客様から「この建物を購入するにあたり雨漏りしていない証明をしてほしい。」という相談を受けました。「どこか怪しい所があるのですか?」と私、「特にありませんが後で雨漏りされると困るので。」という趣旨の事をお客様はおっしゃいます。要は、今は何の問題もなさそうだけれど、中古だし危険な箇所があるのであれば今のうちに売主側に改善させたいという事でした。

はたして、「雨漏りしていない証明」とは可能なのでしょうか?今現在、雨漏りが確認されていない時点で、過去の自然環境下では問題がなかったという事自体が「雨漏りしない証明」なのではないでしょうか。それでも仮に証明するとした場合は建物の隅々を確認し、怪しい所を何らかの調査をして確認するという流れになると思いますが、雨漏りが具象化していない、例えば小屋裏のシミなど全ての部位を確認する事は不可能ですし、そもそも怪しい所の定義とは何なのでしょう。見立てる人によって対象ヵ所にも大きな差が生まれると思います。

仮にそういった作業の果てに「雨漏りしていない証明書」のようなものを発行できたとしても、その数年後、雨漏りが発生してしまった場合。結果として、その雨漏りが何故発生したのかを調査しないといけません(それは私達の通常業務です)。それでも、それが新築当初(売主)から存在した原因なのかどうかを証明し誰に責任があるかまでを解明できるとは思えません。ましてや「雨漏りしていない証明書」を発行した業者の責任を問えるものなのでしょうか。

だとすれば、事前に予算を使って「雨漏りしていない証明」をする事は無駄な作業という事になります。よって、その予算は通常の経年劣化対策(外壁塗装など)に充て、雨漏りなどの不具合が出にくいように心がける方が得策だと考えます。

建物の不具合に対しては瑕疵担保責任や品確法(住宅の品質確保の促進に関する法律)などでも対応出来るものもあるのではないでしょうか。そして、不幸にも雨漏りが発生してしまった時は遠慮なく私達にご連絡下さい。私達は必ずや原因を特定し責任を持って改善致します。もちろん「雨漏り修理保証書」は発行させて頂きます。

 

 

複数浸入雨漏りの極み

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かれこれ三年ほど前だったでしょうか。最初の雨漏りの連絡があって状況を確認しに伺った時は外壁の塗装を行って間もないピカピカの状態だった事を覚えています。散水調査のご提案をして間もなく調査を行わせて頂き原因箇所を突き止めました。改善には屋根の板金作業も必要で外部足場を設置した上で改善作業を執り行わせて頂きました。①の部分でした。しかし、この時、この建物の雨漏り対応がつい先日まで続く事になるとは夢にも思わなかったのです。

再発の連絡があったのは最初の改善作業から数か月経った頃でした。確認も含め①の部分を再度検証しましたが問題はありません。その後、周辺の調査を行った結果②の部分に雨の入り口を発見。再度、雨漏り改善作業を行わせて頂きました。入口は違っていたのですが出口が同じになってしまう為、どうしても【再発】と受け止められる事は致し方ないと思います。確かに、一度の調査で見つけられなかった事も事実であります。

その後、数か月毎に再発のご連絡を頂く事数回。その度に新しい入口を見つけ出すのですが、何故か出口は同じという事でこちらの原因説明が言い訳っぽくなって聞こえてはいないだろうかと感じとても気まずい思いをしたものでした。それでも、毎回、私たちの説明に真剣に耳を傾けて頂き、理解をして頂いた事には大変感激致しております。そして、いつも美味しい飲み物とお茶菓子をありがとうございました。心より感謝申し上げます。

時は流れ、今年も台風シーズンに再発したという事でまたまた伺わせて頂く事になったのですが、今回は今までと少し状況が変化していました。最初に訪れた時には無かった(隠れていた)外壁のクラックがあちらこちらに散見されたのです。そして、今回の原因はそのクラックでありました(ラスモルタル仕上げなのでモルタルの亀裂と一緒に防水紙も破断していると考えられる)。

思えば、三年前の最初のヒアリングの時に奥様は言っておられました。クラックが目立ってきたので全体の塗装をしたばっかりなのに雨漏りしたんですよ。と。

そのクラックが今になって徐々に目立って来たようです。そして、そこにも雨漏りの原因が潜んでいたのです。この数年間は何とか塗膜で持ち堪えていたのでしょう。もしかしたら、それらのクラックが原因でまだしばらくはお付き合いする事になるのかもしれません。今度は違う場所からの浸出を望んでいる?事は言うまでもありません。

雨はさっさと流す。溜めない。澱ませない。

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いい天気ですね。
こういう日は屋根に上ると気持ちがいいものです。
今日は防水の現状確認と採寸のためRCの建物の屋上に来ています。

一般的に防水工事の単価は市場原理によって大きな差は無いと言われています。しかし、建物の状況はそれぞれ違う為、防水作業前に行わなくてはならない下地処理作業もそれぞれ異なる訳です。

同じ防水工事を行うとして数社から見積もりを取った時に金額に差が出るのはこの下地処理部分の差だと考えられます。

しっかりとした下地処理を提案する会社ほど工事費は当然かさむ傾向があるのですが、オーナーさんがその部分に対してどのようなお考えをお持ちかによって業者の選定結果は異なります。

しっかりとした下地処理を行い建物をより永く使用できるようにと提案する業者ほど胡散臭がられる事になったりもしているかもしれません。逆に大した下地処理もしない為価格がお安く口が達者な業者さんほど世に蔓延ってしまうのかもしれません。

最初の改修工事ではなかなか業者の良し悪しも分かりにくいかもしれませんが説明が腑に落ちる業者さんを選ぶ事がこれからは大切なのではないでしょうか。

さて、写真の屋根には最初から防水層が存在しません。コンクリート素地のままなのです。築20年以上経過していますが雨漏りは有りません。少し爆裂が発生しているぐらいです。防水層が無いから膨れたり捲れたりもしません。発想がすごい素晴らしい工法だと私は思います。

流石に劣化が進んできているという事で防水工事の話しが出てきたわけですが劣化部分の補修を行えばしばらくこのままでも行けるのかもしれませんね。コンクリート強化剤などで復活させられればいいなと考えています。

よく見ると一般的なRCの陸屋根と比較して水勾配がしっかり確保されていてコンクリート面に雨が長らく澱む事は無いようです。いわゆる水切れが良い状態なのです。これはまさに雨仕舞の考え方です。雨はさっさと流す。溜めない。澱ませない。よって、水分の影響が少なく、結果下地も劣化しにくいという事なのです。

何でもかんでも防水に頼らなくても雨仕舞で解決出来る部分が建物にはまだまだ沢山あるのではないでしょうか。だって、昔は防水なんて無かったのですから。

塩ビシートはメンテナンスフリーって本当?

個人住宅2軒にて同じ大手ハウスメーカーの建物で同じ不具合に出会いました。ベランダの塩ビシート防水に亀裂が発生しています。ビル、マンション等で使用するシートと比較すると少し薄い材料になっています。

塩ビシートは比較的耐候性が高いと言われておりメーカー仕様によっては20年間メンテナンスフリーと謳われているものまであるようです。すごいですよね。(今や30年保証まで出現!)

しかし、塩ビシートも紫外線の影響で柔軟性は衰えますし以外に縮むんですよ。縮むだけならいいんですが、縮む力で固定金物を引っ張ったり、金物が動かないとなるとシートの中で引張力が強く作用する場所に亀裂を生じさせたりします。亀裂は当然雨漏りに直結します。

DSC07645 入隅が金物ごと浮かされています(断熱仕様)

DSCF6053 引張力の影響で破断しています(密着仕様)

それこそ築20年前後も経過している建物であれば全面防水改修という判断にもなるでしょう。しかし、保証書の効力が無くなった10年目以降の例えば11年目とか12年目ではなかなか全面改修の決断はしにくいところだと思います。一部しか問題ないのに全面改修?って思うのは当然でしょう。面積が大きければなおさらだと思います。

ところが、塩ビシートの厄介なところは補修しにくいというところなのです。補修方法はいくつか考えられるのですが、例えば既存のシートの上に同じ材料でパッチ補修みたいな事を行う場合、付着が芳しくないと言われています。他の材料にしても同じく付着が弱くなる傾向にあります。もちろん目粗ししてもです。すぐダメになる訳ではありませんが何せ耐用年数が低くなりがちで再補修を念頭に置きつつ作業にあたる場合が少なくありません。シートの収縮する力はハンパなく非常に厄介です。シーリングだけの補修では速攻剥離破断します。

最近では耐候性を大幅に改善した補修用テープもあるようです。少しコツが必要ですが収縮性も高く数年間は止水効果を維持できると思います。少なくとも毎年手を加えるという最悪の事態は避けられると思います。全面改修の時期まで持ち堪える事を期待します。

DSCF6274 念のため二重貼りしています

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雨漏りは人災なのか?

IMG_1460 写真はドレン廻りのシート系防水をめくったところです。ドレンに錆が発生していて水分の影響があった事を物語っています。防水シートの端末が経年により接着力が減退した事が理由の一つだと思います。防水シート裏に浸入した雨水はドレン廻りのコンクリートの隙間から浸透し下階へ雨漏りしています。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、このドレンはシート防水用ではありません。シートの端末を押さえ付ける部材がないタイプです。いわゆる塗膜防水用のものです。今回シートを剥がす前は端末をシーリング材で処理したあった次第です。

新築時に用いるドレンの種類は多岐に渡り最近では材質まで新たな試みが行われています。以前は鋳鉄製しか無かったように思いますが、ステンレス、ステンレス鋳鉄、アルミなどでも製造されています。錆びによる弊害は減るでしょうし見た目の美しさも長く維持できるので値段を考えなければお勧めだと思います。

建物は防水の仕様に合わせてドレンを選定しなくてはなりませんが、私達が改修工事の依頼を受けた物件では、たまにと言うより度々と言った方がいいくらいミスマッチを見かけます。建設時の何らかの変更によるものなのか、担当者の知識不足なのかは分かりかねますがとても残念に感じてしまいます。

つまるところ、そのミスマッチが原因で困るのはオーナー様なのですが、まさかドレンと防水の相性がまずかったとは気づく事は少ないでしょう。築年数が10年以上の場合、保証年数からも外れてしまいますので建築した業者さんにクレームを言っても期待通りの対応をしてくれる事はないのでしょう。

防水の改修では改修用の二重ドレンなどを取り付けますので当時のしがらみは無くなります。その時点からは私たちの責任になりますので新たな仕様や品質にはいつも気を使っています。

私達は下地の材質や現在の防水の状況を的確に見極める事から始め、お客様には適正な改修方法をご提案する事を心がけるようにしています。新築時ではそういった作業を設計者が中心になって行っているはずですがどうも結果が伴っていない事があるようです。残念ではありますが雨漏りの多くは人災であるという思いを禁じ得ません。

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そもそも打継ぎは雨漏りの原因に成り得るのか? ~後編~

打継雨漏り 【図3】

上図のような打継があります。左図は梁型を室内側に影響しないように外部に設計配置した外梁タイプの納まりです。右図はセットバック等の理由で外壁がスラブ上から立ち上がるパターンの場合です。この場合、内部に向かう浸透圧は雨量と経過時間によってはかなり高まりますので雨漏りに発展する場合があります。水平面で雨を受けてしまうという最悪の形状と言えます。雨仕舞には細心の注意が必要です。

さて、話は前回に戻ります。下図を再度ご確認下さい。

打継拡大

外壁垂直面が上下階に渡り連続する上図の場合の雨漏りの可能性を考えた時、【図3】と比較すると浸水の確率はかなり減ると考えられます。仮にシーリング材の防水性能が既に無くなっていたとしても室内側に浸出する例は少ないのです。もちろん無い訳ではありませんので誤解なきようにお願い致します。打継といってもいろんなパターンがありますので、打継からの雨漏りを疑う場合は事前に図面などで周辺の納まりを確認する事をお勧め致します。いずれにしても被疑箇所としての優先順位は高いとは言えないのではないでしょうか。まずは、開口部やスリーブなどから検討した方が順当だと考える次第。皆さんはどう思いますか?

基礎編に続く

そもそも打継ぎは雨漏りの原因に成り得るのか? ~前編~

打継

上図着色部分が一般的な1回で打設する躯体コンクリート部分です。ベランダなどの手すりを一体で打設するかどうかは現場の状況により判断されますが図のように打設する場合が多いようです。コンクリートは1層(1フロア)づつ築造する訳ですから必ず継ぎ目が出来ます。コンクリートの継ぎ目は融合しませんので物理的な止水処理を行う事が前提になります。よって、コンクリートの打継部分の外部側には打継目地を設けます。特に外壁垂直面が上下階に渡り連続する上図のような納まりの場合は外壁面を雨水が流れて来る事が想定されますので打継目地のシーリングの責任は重大です。打継目地は型枠に目地棒を取り付け、型枠と目地棒を外すと目地が出来上がっている次第。その打継目地には、仕上げが塗装の場合はシーリング(ポリウレタン系)を行った後仕上げ塗装をします【図1】。仕上げがタイル貼りの場合は捨て打ちシーリング(ポリウレタン系)を行いタイル貼りの後化粧シーリング(変成シリコン系等)を施します【図2】。タイル仕上げの場合、経年劣化の影響による捨て打ちシーリングの剥離などが確認しにくいという欠点があります。雨漏りの原因がそこにあった場合は発見するのに手こずる事が想定されます。

打継拡大

室内の床付近から雨漏りがあった時に外部の打継目地のシーリングを打ち替えたり打継目地周辺にシーリングを重ねまくっているのをたまに見かけますがはたして打継目地のシーリングが劣化もしくは破断する事が原因で雨漏りは発生するのでしょうか?確かにコンクリートの打継面は水が浸み込む程度の隙間はあります。しかし、その雨水は本当にコンクリートの隙間を水平に移動してきたのでしょうか?上から下に降る雨にそこまでの浸透圧があるのでしょうか?強風で押し込まれるのでしょうか?シーリングが劣化した打継目地なんて世の中に数えられないくらいあるのでは?その全てで雨漏りは発生しているのでしょうか?それとも気づかない程度に浸み込んでいるのでしょうか?皆さんはどう思いますか?

続きは後編で

 

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原因は笠木内部に有り

1階のお店の玄関の天井付近から雨漏りしていました。外部にはシャッターBOXや後付けの庇があります。シャッターBOXは庇の下部にあるにも関わらず雨が流れたような跡もあります。

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雨漏り箇所の上階は解放廊下となっていて床は防水がしっかり施工されているようです。手すり壁を打診すると上部と下部では打診音に違いが・・・、どうも内部の下地構造は上下で違っている様子。更に笠木に目をやるとアルミ笠木がずれて隙間が出来ています。雨が内部に入っている事は確実ですが、だからと言ってそこから下階までどうやって雨が移動するのか?

アルミ笠木のズレ

 

分からない時は内部を確認するしかありません。アルミ笠木を取り外すと、雨が流れた形跡と同時に側面にある大き目のクラックが目に飛び込んできました。おそらく、内部の手すり天端(モルタル)上に雨水が滞留した後、側面を流れ落ちる時にクラック内に再浸入すると思われます。

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外部側に至っては外装のタイルまで一緒に割れています。既にタイルは剥がれておりタイルの厚み分が段差となり雨水が手すり内部に浸入する手助けとなっていました。

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以下、経路の考察です。

笠木から下階

手すりの構造が上下で違っているようで、内部に浸入した雨水が自由に移動できる環境にあると考えられます。空洞内の雨水はシャッターBOX側と室内側に分かれて落下しているようで、室内側に移動したものが雨漏りとして認識されていた訳です。内部のモルタル関係の補修とアルミ笠木の整備とシーリングを行いました。補修を急ぐ関係上、散水調査は行わず(濡れると補修が出来ないため)当日補修を優先した事例となりました。今後の状況観察が確認散水調査の代わりになる手はずです。よろしくお願い致します。

 

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耐用年数

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防水工事後、施工業者はオーナー様に保証書を提出します。防水工事の場合、保証期間は10年間というケースが大半だと思いますが中には仕様によって5年だったりとか、塩ビシートなどでは20年メンテナンスフリーなどと謳われているものまで開発されています。メーカーと施行者の連名で捺印して提出する事が多いと思いますがそれぞれの責任は同じという訳ではありません。メーカーは材料に起因する不具合に対応し、施行者は施工状況や施工方法などにに起因する不具合に対応しています。現状、施工に起因する不具合に比べれば材料が原因の不具合はほとんどないと言えるでしょう。ですから、保証期間内に剥離や雨漏りなどがあった場合のほとんどは施工業者が対応する事になります。実際、不具合の発生は施工方法や施工条件などに起因する可能性の方が高いというのが事実ですのでこれからもそのような対応がなされていくと思います。まずいのは、施工業者が廃業などの理由で保証期間内の不具合に対応出来なくなる事です。その場合、オーナー様は必ずメーカーに連絡を取る事になると思いますが、先ほど述べたようにメーカー側は材料に起因する事案にしか対応しません。オーナー様は泣く泣く別の施工業者を探し、予算を使って補修などを検討していかなくてはならないのが現実であります。とても不条理な事に感じます。そもそも材料に耐用年数を全うさせる為にはやはりメーカー側が推奨する方法を守らなくてはいけないのですが、全ての業者さんがそうしているとは残念ですが言えないようです。

先日、階段に防滑シートを貼る作業を見ていた時に思い出した事がありました。本来、シート系の工事や防水工事に於いて入隅部分の納め方の基本としてコーナー加工という方法があります。シートなどを直角に近い形で曲げると材料に無理な力が作用し耐用年数が落ちる為、滑らかな形で貼れるように行う方法で、モルタルで成型したり最近では塩ビなどの加工品を用いたりしています。材料や仕様によってそのような方法を必要としない種類もありますがほとんどはコーナー加工を用いています。しかし、階段防滑シートの場合、入隅にR面木を入れてない輩が多く見受けられます。その場合、内部は空洞です。よって、何らかのタイミングで穴が開いてたりします。子供なんかがそれを発見してしまうと面白がって傘などでつついていたりして更に劣化が進行します。そして、雨が入り込む事になります。内部に侵入した水分は劣化を助長させてしまい結果としてシートの剥離などが発生します。その穴だらけの光景を思い出した次第です。

耐用年数とは、正しい方法で施工を行った場合にのみ有効に機能するのです。高価な材料を選定しても施工に問題があれば本来の性能は発揮されないでしょう。施工の未熟さを材料がカバーしてくれる事はありませんから。

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石はサイディングとみなす

写真はシーリングの破断部分です。サッシはステンレス製でシーリングを挟んで上部は御影石です。

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破断している部分以外を見ても判断出来ますようにシーリング材自体の経年劣化は少ないように思えます。そうです、この破断の原因は内部に溜まった雨水が出口を見つけようとした結果で破断しているのです。付着の弱い所を起点として徐々に拡大していったと考えられます。今ではこの隙間から直接浸水しております。サッシ周辺からの浸水を防ぐべくシーリングの更新を近年行ったという事でした。が、上部壁面の御影石の目地などの劣化部分から侵入した雨水の排水経路までは考慮されていませんでした。まあ、通常そうなっているところがほとんどではあります。しかし、乾式工法の場合、御影石と躯体コンクリートの間には30mmから50mm程度の空間が存在するので、浸水した雨水は空間内を下方に流れて行きます。流れ着く先が地面付近の場合はさほど問題は生じませんが、そこにサッシなどがあった場合は枠の上に溜まってしまいます。本来ならば、石の目地などからの浸水を想定し、雨水を排出させる構造にしておく事が理想だと思われます。いわゆる木造でいうところのサイディングボードと同じ理屈で考えた方が良いのではないかと感じる訳です。そもそもステンレスとシーリングの付着は相性が悪いと言われておりますので、小さい圧力でもこのような現象に発展してしまう危険が大きいのではないでしょうか。

雨だれ汚染

雨染みというのでしょうか、メーカーさんの中には雨だれ汚染と言っている方もいるようです。RC造の外部の解放された部分の手すり等に多く見受けられる症状です。

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おそらく手すりの天端(上端)に降り積もった埃が雨で流される事により起こるのだと思います。擁壁などでも同じ現象が発生します。以外に性質が悪く、洗ってもなかなか除去出来ません。塗装面の細かい凹凸内に入り込んでしまうと洗ってもほとんど変化が無い場合さえあります。仕方がないので再塗装を行ったりしますが数年で同じ状況になってしまいます。雨で発生するという事であれば一つ対応策が思い浮かびます。そう、光触媒(酸化チタン)塗装です。数年前にこの汚れを何とかしたいというオーナー様と打ち合わせの末、酸化チタン入りの塗料を使ってみようという事になりました。その建物は北側の解放廊下側は木立などの影響もあり藻類が毎年のように蔓延る事も悩みの種でした。そして太陽光の直射をあまり期待出来ないながら光触媒塗装を実行したのです。

その結果、汚れは付いてしまうが以前よりは薄くなりました。

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そして、洗ったり拭いたりすると表面の苔類などがきれいに簡単に除去できるようになっていました。

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酸化チタンの効果はあったと判断出来ます。しかし、自浄という意味では少し期待外れな結果となったようです。

というように、この雨だれ汚染で悩んでいるオーナーさんは世の中に沢山いると考えられます。笠木を被せたり水切り状に端部を加工したりと改善方法は無くはないでしょう。問題は、それを新築時にやって頂けないでしょうか?という事なのです。後から形を変えるというのは時間も予算も新築時の比較になりません。

建物の美観を保つ事も建築物にとっては大切な事のはず。設計士さん、そうは思いませんか?

 

うちどい

写真の因果関係がわかるでしょうか。

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アスファルトシングル葺きの屋根が経年劣化に伴い表面の砂材(彩色砂粒というらしい)が無くなっています。さて、その砂材はどこに?雨などの影響で下方流れて行きます。先には樋があります。一部は樋内に溜まります。自然に降り積もっている土などと混ざります。動かなくなります。植物が生えます。雨が更に滞ります。天井に雨漏りします。RCなのに。

これは、内樋であるがための結果です。先端に軒樋が有る場合は樋が詰まる事はあっても天井には雨漏りはしません。意匠的な配慮で屋根が内樋になっている建物は数多くありますが、シングル葺きは再考の余地があると言わざるを得ません。仮にシングル葺きでない場合でも内樋が原因となる雨漏り事例は沢山発生しています。その場合、形状変更をお勧めしたり、オーバーフローなどの対策をご提案させて頂いております。何度も言いますが‟形で流す”事が建物にとって最良であると私は考えております。10年後20年後、そして50年後100年後まで考えた設計が当たり前だった先人に学ぶ事は多いのではないでしょうか。

 

階段のノンスリップタイル部分の防水の取り扱い

階段のノンスリップタイル部分の防水の取り扱いでは意見が分かれるようだ。内部や下部に雨漏りしたりモルタルが浮くなどの理由で外階段の床面を防水しているケースは多いと思うが、段鼻のノンスリップタイルは防水しないのは何故か。ノンスリップに塗膜防水を施すと滑ってしまうとか、歩行の影響で早期に剥がれてしまうとかの理由だと思います。そして、隙間からの多少の染み込みには目を瞑るという事であろうか。

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そもそも外階段の雨仕舞はなかなか難しい。床周辺の劣化が進んで来ると見た目の問題も発生するのでどうしても何かしらの修繕をしたくなるのも頷ける。しかし、はたして表面的な防水は有効と言えるのか。しかも、ンスリップタイルを露出したままで。最近は階段用の塩ビ系の防滑シートなどによる改修が普及していますが端末のシーリングの劣化に伴う水分の浸入に関するメンテナンスに気を配り続ける事が必要です。今後も実益と意匠を満足させる工法の進化を見守って行きたいと思います。

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