Kensui0(ケンスイ ゼロ) ~似て非なるもの~

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 鉄筋コンクリート造の建物で、補修を繰り返してきたにもかかわらず雨漏りが止まらないという事だったので屋上(陸屋根)の全面防水改修をご提案し、ウレタン塗膜防水により防水作業を実施することになりました。と言っても、当時私は改修工事会社の一営業社員でしたので作業は協力業者の方が実施し、私は営業担当兼工事管理者として責任を持って毎日の工事管理を行い、工程や品質や納まりなどを確認しつつ不備があったときには改善などを指示したりしました。それはとても暑い夏の時期でした。

およそ二週間後「これでもう安心ですよ。」と説明し引き渡しを完了しました。

数日過ぎたある日の朝、「また、雨漏りが・・・」というお客様からの連絡が入りました。「まさか、そんな・・・」、急ぎ駆けつけて状況を確認。確かに同じ場所から雨漏りがしている。すぐさま屋上の防水状況も確認。防水層自体に問題は見受けられない。一部の膨れを除いては。

膨れは下地内(この時は押えコンクリート)にある水分が日射の影響で気化することで発生します。ということは、思っていた以上に下地内にまだ残存水分があって、日射などによる熱膨張によりある方向に水分が押し出された結果が雨漏りのような現象になったのではないか、という説明をしてしばらく様子を観察して頂くことになりました。

その後、何度目かの雨天の翌日、またもや雨漏りの連絡が・・・。そして、防水層には無数の膨れが・・・。
「これは、明らかに下地内に水分が供給され続けている。」と確信し、すぐに雨の入口を探すことにしました。

結果は、横引きのドレン付近からの浸水でした。
今思えば、何故当時は改修用ドレンを使用しなかったのか自分でも理解に苦しみますが、その時は密着仕様を選択していたのです。まるで、改修用ドレンが存在していなかった時代のように。

それからが大変でした。まずは、数か所あるドレンに対し改修用ドレンを取り付け直し、発生した相当量の膨れは切開の上補修を実施。しかし、それなりの量の水分が下地に浸入してしまったようで、脱気筒だけでは水蒸気が十分に排気されず、しばらくの間膨れは治まることがありませんでした。

やっと膨れが治まり、補修箇所の見た目をきれいにするための重ね塗りを終えたのは翌年の春頃だったと記憶しています。防水工事完了後、約7カ月が経過していました。もちろん、予算も掛かりました。赤字レベルはとっくに超えています。会社からもいろいろ言われました。精神的にも凹みました。そして、結果としてお客様からの期待を裏切ってしまったという事実が何よりも堪えました。

自分は現場監督としての経験が15年あって防水についても専門的な知識があったつもりでした。そう、“つもり”だったのです。そこに慢心が生じたのかもしれません。
また、その時、こうも思いました。
「防水」と「雨漏り改善」は違うものなのだと。似て非なるものだと。

もっと雨漏りに対して真剣に向き合わなければまたいつか同じことを繰り返すかもしれない。営業的目線で考える「防水」と、経年劣化対策としての「防水」と、雨漏りを止めるための「防水」とでは自ずと仕様や範囲が違ってきます。雨漏りで困っている人には「雨漏りを止めるための防水」を心がける必要があるのです。

私はその当時の一連の作業の中でそう気付きました。
【雨漏りと防水を考える会社:建水プロテクト】の種が自分の中に生まれた出来事です。

夏が来れば思い出す
残暑お見舞い申し上げます