「今まで、当日に出て来る事はありませんでした」~前編~

雨漏り調査,鉄骨ALC造,基礎クラック,基礎取り合い

必ずと言っていいぐらい翌日に雨漏りらしき水が床に溜まるそうです。それも床の真ん中に・・・。本当に雨漏りなのでしょうか?

【建物構造】鉄骨ALC(㋐100)造 2階建 住居専用(住人3名)

【雨漏り部位】1階玄関の床タイル面

【雨漏り状況】大雨や長雨の翌日に気付くと玄関床タイル面に水溜りがある(まるで立てかけた傘の下に出来る水溜りのように)。周辺の壁や巾木に雨漏りの形跡は見受けられない。水溜りは直径10cm~20cmぐらいが多く、それ以上大きくはならない。

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【原因の仮説を立てる】

①写真左上側の木巾木の向こうは外壁である。ALC造の原因にありがちな、基礎コンクリートとALCパネル間の継ぎ目付近のシーリングの劣化に伴い建物内に浸水した雨がタイル下地内を移動して滲んで来るのではないか。もしくは、ALC自体にクラックが発生し同様の現象が起こっているのではないか。(写真右上は上がり框)

②建物周辺は砂利敷きでありその下層は土で埋め戻されている。地中内に何らか(打継等)の原因が存在し、そこが浸入口となっているのではないか。大雨で周辺の水位も高くなり浸透圧が上がった時だけジンワリと浸入してくるのではないか。

③家主の掌握していない範囲で居住者の誰かが帰宅後傘を立てかけているのではないか。

【仮説の検討】家主様のお話しでは、まず③は無いとの事(念のため聞いただけです・・・)。①の場合、滲出までの時間はもっと短いと思われる。また、壁面側の床付近にも雨漏りの形跡があって然るべきではないだろうか。よって、この段階で有力な説は②だと考えた。

【検証】②の仮説に基づき雨漏り箇所付近の外部砂利面に散水(満水)を行った。大雨の状況を再現するべく可能な範囲で砂利面の水を左右端部でせき止め、なるべく水位が高く(少なくとも玄関の床面より上に)なるように行った。普段の浸出現象が翌日との事でしたので、散水(満水)調査は朝から行い可能な限り夕刻まで水をつぎ足しながら行った。

散水開始後は調査水が地中に浸透していく為水位は上昇しないが、時間の経過と共に地中が飽和状態になるにつれ水位は砂利上数センチで安定した。自然に減少する量を常時加水する形で調査を継続した。

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【結果】時間内に雨漏りは確認されなかった。しかし、この後ジンワリと滲出する可能性があるため家主様に確認をお願いして1日目は終了となった。

翌日、確認したところ雨漏りは確認されていないとの事で仮説の段階に戻って再検討する事になった。

~後編~へ続く

Posted by kensuiprotect