防水改修のタイミング

怪獣の口みたいになっていますがこれはPC(precast concrete)笠木の爆裂です。

笠木表層のウレタン塗膜防水はそれほど劣化しているようには感じられませんでした。しかし、明らかに防水施工後に爆裂が進行したと考えられます。防水層に不具合があって雨が浸入し、それが起因となって徐々にPC内の鉄筋が膨張することで爆裂が進行したのでしょうか?

おそらく、数年前に屋上防水改修を行うタイミングで何かを感じてPC笠木にも塗膜防水をしておいた方が良いと判断したのだと思います。その当時から爆裂によるクラック程度は散見できたのでしょう。そのクラック(初期爆裂)を食い止めるための判断だったのだと思います。

ですが、手を打つタイミングが少しだけ遅かったのです。もしくは外壁側の止水処理まで気が回らなかったのかもしれません。既に膨張が始まっていたPC内の鉄筋は塗膜防水施工後も残存水分やタイル面側からの水分の影響を受け膨張し体積を増やし続けたと考えられます。そして、挙動の大きい部位の塗膜防水はかくして破断しました。あとは雨天の度にそこから浸入してくる雨が塗膜防水により出口がなくなったPC笠木内を横方向にも移動し広範囲の爆裂を引き起こしていったのではないでしょうか。

鉄部の腐食(錆)も部材深部まで到達してから塗り替えても錆の再発を防ぐ事は容易ではありません。せっかく予算を掛けて補修や改修を行うのですから、適切なタイミングで最大の効果を出したいものです。

最近の事例はこちら👇

気付く時間はあったはずです

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パネル系の庇の下方(軒天)からの雨漏りが止まりません。建築業者さんは、まずはパネルの目地の劣化を疑ったようです。そして既存目地のシーリングを打替えてみたのですが何も変わらなかったとの事。少し雨漏りに詳しい人であればこの時点でパネルの目地以外の浸入口も考えるはずです。しかし、今回の事例では違いました。建築業者さんは、後日、目地上に被せるようにブリッジ式シーリングを打設。でも、やはり雨漏りが改善する兆しはありません。ここまでくれば目地は「シロ」だと思います。しか~し、建築業者さんは、何と更にブリッジシーリングの側面に三角シーリングまで打設してしまったとです・・・。

もちろん、雨漏りは今も止まっていませんし滲出雨量は減ってもいません。何も変わっていないのです。

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①パネル目地シーリングは平面部分にある場合、紫外線や雨水の影響を大きく受けます。パネル系の庇や笠木では【シーリングの劣化=雨漏り】となり易いため定期的なシーリングの打替えは必須となります。多くの雨漏りの原因位置にもなっている納まりです。

②ブリッジシーリングは①のパネル目地シーリングの機能を補佐したりと紫外線の影響を軽減させる効果が見込めるかもしれません。しかし、やはり劣化はしやすいので定期的な交換は必要です。しかも、特徴的な出っ張り形状は、見た目に難があると言わざるを得ないでしょう。

③三角シーリングは②のブリッジシーリングを信頼していない前提で打設されています。しかも、打設した意味や効果は薄いと言えます。同じ業者さんが施工したのであれば自己否定の上に成り立っている補修方法であると考えます。

という事で、オーナー様がまず建物を建てた建築業者さんに改善の要請をする事は致し方ありません。しかし、建築業者さん全てが雨漏りに詳しいとは限りません。いや、どちらかと言えば不得意なのではないでしょうか。今回の事例でも三角シーリングを打設する前に途中で検証するという手順が省かれていたように感じます。それが証拠に私たちが実施した散水調査で原因は判明しています。残念ながら三重シーリングを施したパネル目地に雨漏りの原因は存在していませんでした。

オーナー様は既に工事費を業者さんにお支払しています。

3度も・・・。

何ともやりきれないお話しでした。

下笠木が軒樋に成り果てる時

建築物は部材の集合体です。その一つ一つに適正な位置や納め方を要求されています。当然ながら意味があっての事です。しかし、時折、ちょっとした位置がずれていたり、順序が逆になっている事で雨漏りの原因になってしまう事があります。

主に鉄骨系の建物に見受けられる仕上げ材に「下笠木」という部材があります。「したかさぎ」と読み、通常の笠木が上から被せているのに対し、下方に仕上げ面を向ける取付け方をする部材です。下がり壁などの躯体の端末を隠し、きれいな納まりに見せる役割も担っています。また、壁と天井との見切り材でもあり意匠上必要な部材なのですが欠点になる事も・・・。

下笠木※クリックで拡大します

納まり上、雨水などが侵入した場合は水の受け皿になりますし、結果として雨水の移動用の道になってしまう事もあります。シーリングの不具合などの事由により下笠木内に侵入した雨水は水位を上げながら横方向に広がり始めます。途中のジョイント部分から排水されてしまえば幸いですが端末部分はどうでしょうか。

外装仕上げの前に取り付ける事が多い下笠木ですが、端末(小口)部分が壁面に刺さる(壁面にぶつかる形で納まる)形状の場合、壁面に接触させる形はNGです。そういう納めにすると端末部分は外部に開放されていない状態のため、一部の雨水は壁の内部に向かう事になってしまいます。そこにALCパネル間の竪目地が存在していた場合、そこに雨水が流れ込む事があります。更にその流れて行く先が床面だったら雨水は床から浸出するしかありません。

フローリング濡れ※クリックで拡大します

今回は室内のフローリングに被害が出ていました。いつも湿気っていたようです。浸出する雨量は少なかったようで床面が水溜りになる事は一度もなかったと言います。しかし、長年の浸水の影響でフローリングは腐食していて指で突いただけで穴が開いてしまうほどでした。

下笠木は時に【軒樋】に変身出来る能力を有しているのです。壁の取合いの納め方には注意が必要です。下笠木の端部は壁面から少し離す事が理想ですが、端部と壁の隙間をシーリングで埋めてしまっては雨水が壁に向かう可能性を残してしまうのでお勧め出来ません。小口キャップを取り付けた上で壁の少し手前で納めて下さい。そして、その隙間の底だけをシーリングで処理してはいかがでしょうか。

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株式会社建水プロテクト|東京都練馬区の雨漏りと防水を考える会社

それでも原因は必ずある

モルタル

上図からも読み取れるように、散水調査に於いて最初に散水を行う場所にを想定する事は難しくありません。事実、床下のモルタル上に水溜りが出来ました。でも、下階には浸出しませんでした。サッシは数か所存在し、それぞれ共に床下に浸水しました。それはそれで問題なのですが下階の雨漏りが再現される事はありませんでした。

試行錯誤の後、外部の手すり笠木の根元に辿り着きました。の位置です。そして散水開始から30~40分後、予定の位置から雨漏りが再現された次第。

雨の経路は防水下のモルタルとALCパネルの間だと思われます。鉄骨造という事もあり、手すり側からの浸水は壁内を下方に落下するであろうという先入観があった事は否めません。その為、原因が判明するまでにかなりの時間を要したという事は言うまでもありません。

雨漏りがある限り必ず原因は存在しています。諦めると迷宮入りかも。

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株式会社建水プロテクト|東京都練馬区の雨漏りと防水を考える会社

関連サイト

原因は笠木内部に有り

1階のお店の玄関の天井付近から雨漏りしていました。外部にはシャッターBOXや後付けの庇があります。シャッターBOXは庇の下部にあるにも関わらず雨が流れたような跡もあります。

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雨漏り箇所の上階は解放廊下となっていて床は防水がしっかり施工されているようです。手すり壁を打診すると上部と下部では打診音に違いが・・・、どうも内部の下地構造は上下で違っている様子。更に笠木に目をやるとアルミ笠木がずれて隙間が出来ています。雨が内部に入っている事は確実ですが、だからと言ってそこから下階までどうやって雨が移動するのか?

アルミ笠木のズレ

 

分からない時は内部を確認するしかありません。アルミ笠木を取り外すと、雨が流れた形跡と同時に側面にある大き目のクラックが目に飛び込んできました。おそらく、内部の手すり天端(モルタル)上に雨水が滞留した後、側面を流れ落ちる時にクラック内に再浸入すると思われます。

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外部側に至っては外装のタイルまで一緒に割れています。既にタイルは剥がれておりタイルの厚み分が段差となり雨水が手すり内部に浸入する手助けとなっていました。

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以下、経路の考察です。

笠木から下階

手すりの構造が上下で違っているようで、内部に浸入した雨水が自由に移動できる環境にあると考えられます。空洞内の雨水はシャッターBOX側と室内側に分かれて落下しているようで、室内側に移動したものが雨漏りとして認識されていた訳です。内部のモルタル関係の補修とアルミ笠木の整備とシーリングを行いました。補修を急ぐ関係上、散水調査は行わず(濡れると補修が出来ないため)当日補修を優先した事例となりました。今後の状況観察が確認散水調査の代わりになる手はずです。よろしくお願い致します。

 

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二段笠木?

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アルミの笠木を取り外した内部に白っぽいカラー鋼板の笠木(蓋?)が現れました。ハウスメーカーの建物ですが、ハウスメーカーは各々独自の製品を使用しますので時々驚かされます。一般建築ではこのような納まりは珍しいのではないでしょうか。故に雨漏りの推測も難しくなって来ます。確率は低いと思いつつ笠木に散水を行った結果、雨漏りが再現されました。壁面に外傷が見当たらない為、笠木を取り外した状態が上の写真です。するとどうでしょう。外装材であるライトヘーベルの上部にヒビが! そこにもう一度散水すると・・・やはり間違いないようです。(下の写真)

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普段は笠木に密着している為、目視ではよく分かりませんでした。これ以外にも数ヵ所の入り口が存在していた為、ここにたどり着くまでにそれなりの時間を費やすことになってしまいました。おそらくここが今回の雨漏りの最後の浸入口だと思われます。ここまで来ると建物自体の特性もかなり理解出来てきます。先入観を持たない事が雨漏り調査では大事な事だとされていますがこの部分には少し思い込みがあったのではないかと反省をしています。建物の作り方も日々更新されている限り私達も勉強を怠ってはならないと再認識致しました。しかし、この経験は実績として蓄積できましたので次回は選択肢の一つになり早期解決の糸口となり得ると思います。積み重ねこそ雨漏り解決への王道と心得て日々精進を心掛けなければ。

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株式会社 建水プロテクト