一見、簡単に直せそうな雨樋の不具合。
しかし、意外と専門性が高く、大抵は手が届かない高所で発生するため自力での対処は難しいです。
そこで、今回は専門業者に依頼すべき雨樋の不具合を弊社が対応した案件を例に紹介していきます。
ご自宅の状況と照らし合わせ、修理依頼の参考にしてみて下さい。
雨樋とは、雨水を地上まで流すための設備で主に「軒樋」と「竪樋(縦樋)」で構成されてます。
軒樋は、屋根の周りを囲うように設置されている部分で、屋根から流れた水はここで受けます。
竪樋は、軒樋から流れてきた雨水を地面まで落とす配管で、排水口に導く役割を担っています。
① 樋からの水漏れ
経年劣化を含め、挙動や外力、施工状況などにより樋から水漏れが発生する事があります。
水漏れは外壁などに更なる悪影響を与え、汚れを発生させたりします。
場合によっては“水はね”による近隣トラブルの原因になる事もあります。
② 支持金物の腐食や抜け、樋の破断
地震などによる挙動や外力、自重などの影響により竪樋自体が破断する事があります。
また、支持金物が腐食し、場合によって竪樋を支えきれず徐々にズレていきます。
支持金物の錆は支持力の低下を招くだけではなく、見た目にも悪く資産価値の低下につながります。
③ 軒樋の不具合
屋根から流れてくる雨水を受け止める役目を担っているのが軒樋です。
軒樋が破断などすると、そこから下方に大量の雨水が落ちてしまいます。
場合によっては近くの壁面にも影響し、弱い塗膜などは剥がれる事があります。
軒樋の大きさや形、種類は多岐に渡ります。
屋根の形状に適合していない場合、雨水をうまく受け止められず漏れた雨水が周辺に悪影響を及ぼすので注意が必要です。
④ 天井内部にある樋が破断
屋根からの雨水排水管が天井内を通過していたお宅です。
差し込み管の腐食により接続塩ビ管が破断し、天井内に雨漏りが発生。
室内の天井を解体して配管のし直しで対応。
横方向に延びている為、関係する部分の天井も解体し修理をおこないました。
⑤ 樋内に異物が詰まり雨が溢れた
天井内の樋から大量の雨水が溢れ出たお宅。
調査の結果、樋の途中に詰りが有る事が判明したのでその部分を撤去。
撤去部材の中には思いもよらぬモルタルの塊がありました。
樋が途中からサイズ変更されており、その段差に引っかかっていました。
通常、サイズ変更は上から下に向かい大きくなりますが、今回は逆パターンだったため異物が引っかかる事態となっていたようです。
また、手前の樋の内部には今まで溜まっていた堆積物が確認されました。
⑥ ALC面の竪樋
最近の依頼の中で最も多いのがALC外壁面の竪樋支持金物の外れです。
中には外れた樋によって隣の建物にまで被害が及んだ例もありました。
問題は取付けに使用する金物の選定という事もありますが、ALCパネル自体に起因するものが殆どだと言えます。
ALCパネルは軽量気泡コンクリートと言う名の通り、それ自体が柔らかめの軽石に近い感じなので、専用のアンカーを用いても周辺の支持力が徐々になくなって来ます。
よって、それなりの補強を施しても100%の支持力は期待出来ません。
対処方法としては、なるべく相性の良いアンカーやビスを用い、より多くの箇所数で固定し、時々様子を確認する事が寛容だと言えるでしょう。
特に地震の影響を強く受けるようですので、大きな揺れがあった後は点検をお勧めします。
⑦ 軒樋の落とし口の腐食により室内に雨漏り
落とし口の腐食による穴から軒樋内部に雨水が浸入。
軒樋の空洞部分が外壁ALC面と接しており、ALC版の竪目地の劣化もあったため室内に浸水しました。
軒樋は単純な構造の方が不具合の発見には有効と思われます。
穴の補修は行いましたが、念のため軒樋の下方に水抜き用の穴を開けてあります。
⑧ バルコニーの排水が軒天内部で雨漏り
雨が降るたびに下階の天井廻りから雨水が滴っていたお宅。
排水方向にはP型集水器があり、樋を集水器から取り外すと泥が溜まり詰まっていました。
その結果、バルコニー側の樋は雨水が排出されず、溢れた雨水は軒天内に拡散。
更にその雨水は内壁側に移動し、室内まで到達していました。
既に天井内部は湿気によりカビだらけ、復旧には換気も考慮し有孔ボードを使用しました。
※ 危険なドレン(陸屋根)
「ドレン」とは、水抜きや雨水を流す排水口のことです。
エアコンなどの空気配管に設置する水抜きも「ドレン」と言いますが、ここでは陸屋根に設置され、竪樋の入り口である「雨水を流すための穴」のドレンについて記載します。
・枯葉や泥が周辺に堆積しているドレン
・コケや雑草の侵食により塞がれたドレン
・完全に詰まると屋根が池のようになっています
屋上に上がれるお宅であれば、定期的にドレン周りをお掃除できると安心です。
まとめ
雨樋修理は基本的に高所作業となり、周辺に影響が出ている場合も多いので、破損や詰まりなどトラブルが生じた場合は専門業者に依頼するのがおすすめです。
作業日数は、取り外しに1日、取り付けに半日~1日の2日間程度が目安となり、費用は屋根の大きさなど樋の長さで変動します。
高所作業の場合、工事費に足場を組む費用がプラスされ高額になるため、屋根材や外壁材のメンテナンスと合わせて行うのが効率的です。
逆に、屋根や外壁の工事で足場を組む予定がある場合は雨樋も確認してもらいましょう。
また、自然災害での破損の場合は、火災保険が適用になる可能性があります。
外装材に適用される場合は、雨樋の工事も含まれることが多いので保険内容を確認しましょう。
ゲリラ豪雨や台風シーズンが来る前に、どこか変だと感じたら一度弊社にご相談下さい。
※狭い所や足場の設置が困難な場所でもご相談下さい。
点検作業は可能な限り無足場ブランコ工法で対応し、足場代を削減いたします。
また、専門業者ならではの経験を元に解決策をご提示させて頂きます。