飛び込み営業

小話

今朝、いつも通り自宅から車で現場に向かっていたところ、5分ほど走って信号待ちしていると何か違和感を感じた。何かが窓の横を通り過ぎた気がしたのだ。そのまま走り出したのだが、次の信号待ちでそれが何なのかはっきりしたのです。何と!ボンネットあたりから煙が?! 冷却水の温度は上がっていない・・・、特に匂いもない・・・、ファンベルトか?いや、音は出てないぞ?などと思いを巡らす内に数百メートル進んでいたのだがさすがに周囲の目線が気になって道路脇に停車させる事に。そこは千代田区九段下、結構な交通量もあるし、今日はどこかの大学の卒業式が近くで(おそらく武道館で)あるらしく相当の通行人がおりました。当然、皆の注目を浴びる始末。「爆発する?」みたいな顔で過ぎ去って行く人々。近くの交番からおまわりさんも様子を見に来てしまった。危険人物とかに見られないようにあちこち電話を掛ける仕草で紛らわす。そんな中、JAFにもすぐさま連絡。現在地などを確認された後30分くらいで参上してもらった。JAFが到着した時には煙は既に納まっており、ボンネットを開け放った故障車が道路の隅っこにいるだけとなっていた。原因はウォーターポンプではないかとの見解であった。ポンプ周辺から漏れ出た冷却水がファンベルトによってエンジン外部に飛散させられ蒸発した冷却水が水蒸気化して煙に見えたという事らしい。エンジンをかけると大量の冷却水が漏れるので致し方なくJAFさんの車両でそのまま牽引される事に。運が悪い事に今日は出入りのディーラーが定休日。仕方がないので、自分で運転すれば15分の道のりを30分程度掛けて自宅に戻ってもらう。JAFの会員は15km以内であれば牽引料金は無料という事を初めて知った事は収穫だった。入会後25年も過ぎているのだが・・・。車中、お客様や現場担当者さんなど関係各位に連絡をしまくり、今日の予定を何とかしのぎつつ今後の移動手段を考える。いきなり代車の手配も無理かと思い、今日は電車移動で何とか対応する事とする。たまたま、道具とか材料関係を持ち込む必要もない日だったのでそこは不幸中の幸いであった。とにもかくにも今日ほどJAFさんに入会していて良かったと思った事はない。

駅から事務所に向かう途中、作業中の現場に立ち寄ったり見積りの現調などを行いながら徒歩で移動。こんなに長い距離を歩いたのは最近は無かったなと感じつつ、人様の庭先の花に春を感じながら徒歩も良いなと久々の爽快感を味わった次第。ついでに言えば少し痩せたかもしれない。思えば12年前から17年前の5年間は毎日歩き詰めであった。以前の会社の営業スタイルがそうだった事もあるが、やはり飛び込み営業は徒歩でしか成り立たないからでもあった。一軒一軒、しらみつぶしに訪問して営業を行っていた頃が蘇って来る。楽しい記憶はほとんどないがたまには嬉しい事もあった。やりがいというよりは生活の為に歩き回っていたので周囲の景色はほとんど見ていなかったと思う。今は少しだけ廻りの景色にも関心を向けられる視野を得られた気がしている。

周囲を見ないから自分が今どこにいるかも判断出来ない。そんな時代を思い出しながら。

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